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筋肉博士、石井直方先生に聞く!ヒップアップ攻略の鍵は『大殿筋と大腰筋のどちらも鍛えること』前編

女性にとって気になる部位である「お尻」・・・。
トレーニングでは、なかなか効かせにくい場所でもあり、お尻の構造・正しいトレーニング方法を知ることが大切です。
そこで今回は、筋肉博士・石井直方先生に、ヒップアップの完全攻略法について解説いただきます。

女性らしいきれいなヒップライン

森 「女性らしいきれいなヒップラインを作るための筋肉の重要性」という観点からお話をうかがいたいと思います。

石井 お尻にはたくさんの筋肉があります。表面にあるのは大殿筋です。その奥に中殿筋、そのさらに奥に小殿筋があって、大・中・小の3層の殿筋でできています。あと、股関節の周囲には梨状筋、内外の閉鎖筋、上下の双子筋、大腿方形筋などの小筋群があり、多層的です。これらには股関節の内旋や外旋のほか、屈曲・伸展などの大きな動きを安定させる働きがあります。いわゆる、股関節のインナーマッスルです。
ヒップアップに関係しているのは、筋肉と骨盤の傾斜です。骨盤傾斜角は地面に対してまっすぐ立った状態で、骨盤がどの位置にあるかということをあらわしています。前傾は骨盤が前に、後傾は後ろに倒れている状態です。骨盤の後ろのあたりにお尻があるので、お尻はつねに骨盤の影響を受けています。後傾するとお尻の筋肉全体が下がり、前傾するとお尻の筋肉全体が上がっていくんですね。実はまだ日本人の骨盤傾斜角はわかっていないんです。欧米では20°前傾しているのが標準であると言われています。
4年前にコアトレーニングを集中的に行うことによって骨盤の傾斜角がどう変化するかを、男女別に調べたんですよ。民間のフィットネス研究所と共同で3か月、姿勢の測定をしながらやったんですけど、最初は日本人の平均値がわからないし、数字も5°や10°など、バラバラでした。
ところが、3か月後に測定すると、全員が10°~12°のあいだに収束してきたわけです。ということは、おそらくこれが、日本人の標準値だと考えられます。白人に比べると、やや後傾しているんです。

森 その差は大きいですね!

石井 ニュートラルな姿勢が前傾だと、腰椎の線が深く出るので、ヒップラインが少し高い位置に来ます。

森 骨盤傾斜角を考えると、日本人にとって健康的で美しいヒップラインは、欧米人のようなタイプに求めないほうがいいということですね。

石井 まあ、そうですね。

森 黒人のヒップは発達しているというか、位置がすごく高いですね。

石井 そうですね。筋量そのものはわかりませんけど、黒人の腰椎から骨盤、股関節にかけての構造は独特です。もう亡くなりましたけど、陸上選手だったフローレンス・ジョイナーはすごいお尻をしていました。

森 私の憧れです。ずっと、あのヒップを目指していました。日本人の場合は、トップアスリートでも比較的、ヒップが薄い印象があります。スポーツによってヒップラインに特徴があると思いますが、ヒップを特に強く使う競技は何ですか?

石井 お尻を使わない競技はないですが、例えば野球の投球動作があげられます。お尻の大きい野球選手は、いいピッチャーだと言われることがありますが、これは一理あります。片脚を上げて、軸脚で立って、バランスをとりながら、腰をひねって、ボールを投げる。股関節をすごくダイナミックに動かす選手は、お尻が発達しますね。

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