腹筋強化に効果的!赤ちゃんのときに誰もがやっていたあの動作

同じ捻り動作でも回転の軸が違う動きのトレーニングがあります。このようなトレーニングは体のアンバランスを引き起こし、さまざまな問題の原因となることが多くなります。捻り動作を正しく行うには、赤ちゃんのように支持基底面を広く取った状態で行うと正しい動作になりやすいと言えます。今回は赤ちゃんのときに行っていた「ベイビーゲットアップ」という種目について解説します。

文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>

対角線に正しく起き上がる

ほとんどの人間の動きは対角螺旋で動くようにできています。歩くときも走るときも、足と手を対角に出しながら移動すると思います。これは原始パターン(Primal Pattern)と呼ばれるもので、人間にとって誰もが意識しなくてもできる自然な動きと言えます。誰もが意識しなくてもできるということは、人間の遺伝子にプログラムされた動きであり、とても重要なプログラムです。

逆に、ベンチプレスのような「意識しないと行えない運動」はもともと遺伝子にプログラムされていないので、その動作を意識して行うほど神経系の混乱を引き起こし、スポーツができなくなる可能性も出てきます。そもそも、発育発達の過程で、歩き方を両親かパーソナルトレーナーに教わった人はほとんど存在せず、赤ちゃんのうちに口頭による指導なしで自然にできていったと思います。赤ちゃんは言葉を知らないため、口頭による歩行指導はできないのが分かると思います。

対角に体を使う動作の最初は、赤ちゃんのときに床の上に寝転んだ仰向けの状態で行われます。仰向けの状態でいるということは、赤ちゃんの体の背面は平らな床の上に固定されています、体が固定されている面を「支持基底面」と言います。赤ちゃんが仰向けに寝ている動作は「支持基底面」が広く、安定されているので生後5カ月でよく起こる「捻り動作」は正しく左右対象に行われやすいと言えます。(写真1−1)大人になってからの捻り動作は、体が固定されている面(支持基底面)が足の裏(立位)や殿部(座位)だけということが多く、自由度が高くなります。

1ー1 仰向け( 支持基底面が大きい状態)からの捻り動作

したがって、いろいろなクセがつきやすく、正しい捻り動作ができにくいのが現状です。例えばツイスティングシットアップを例に挙げると、同じ捻り動作でも(写真1−2)と(写真1−3)では回転の軸が違うということなのではないでしょうか? このようなトレーニングは体のアンバランスを引き起こし、さまざまな問題の原因となることが多くなります。

1ー2 腰を中心にしたツイスティングシットアップ

1-3 胸椎を中心にしたツイスティングシットアップ

捻り動作を正しく行うには、赤ちゃんのように支持基底面を広く取った状態で行うと正しい動作になりやすいと言えます。今回は赤ちゃんのときに行っていた「ベイビーゲットアップ」という種目について解説していきます。このエクササイズは、原始パターンであり、対角の運動であり、腹筋を左右対称に強化できるという人間の機能という点で考えると大変効果的な運動だと言えます。

ベイビーゲットアップの効用

原始パターンの強化
対角螺旋運動の強化
腹筋、前鋸筋の強化

ベイビーゲットアップの行い方

ダンベルもしくはケトルベルを片手で持ち仰向けになります。ダンベルを持ったほうと同じ側の膝は曲げます。(写真2 −1)

2-1 ベイビーゲットアップのスタートポジション

その状態からゆっくりとダンベルを持った方の体を起こしていき、肘立ちになるまで、上体を捻りながら起こしていきます。(写真2 −2)ダンベルはあくまで天井のほうに上げるようにします。

2-2 ベイビーゲットアップのフィニッシュポジション

リグレッション(原点回帰)とプログレッション(エクササイズの発展)
ベイビーゲットアップのリグレッション

ベイビーゲットアップ(シューズ・オン) (写真3−1)

3 ー1 シューズを落とさないように行うリグレッション

ケトルベルの代わりにシューズを拳の上に乗せてエクササイズを行います。シューズが落ちないようバランスを取りながら行うことで、体幹のコントロール能力が身につきます。

ベイビーゲットアップのプログレッション

片手立ちからのヒップリフト
ベイビーゲットアップから、片手立ちまで上体を起こして(写真3−2)ヒップリフトのポジションまで行います。(写真3 −3)支持基底面が徐々に小さくなっていくので、バランスを取るのがさらに難しくなります。

3 ー2 ベイビーゲットアップの片手立ちポジション

3-3 ベイビーゲットアップのヒップリフトポジション

今回のような運動は筋膜の走行に沿って動かしていくことで、人間にとって自然な動きを身につけるという効果も期待できます。ケガのない柔らかい体を得るためには、自然な動きを追求することも考えていく必要があるのではないでしょうか?

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)
兵庫県神戸市出身。滋慶学園大阪ハイテクノロジー専門学校スポーツ科学科トレーニング理論実習講師/整体&パーソナルトレーニングジムを経営(兵庫県明石市)/ NSCACSCS/NPO 法人JFTA 理事長/17歳よりトレーニング開始。大学卒業後、スポーツクラブに就職、スポーツコンサルティング事業にかかわる。同時に操整体トレーナー学院学長松下邦義氏に師事、操整体について学ぶ。/2006年NBBF 全日本選手権 第6位。
NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会 TEL:078-707-3111

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