53歳で筋トレに目覚め還暦後に女子フィジークで世界6位に
昨年初めて女子フィットネス世界大会へ出場し、女子フィジーク35歳以上級で6位に入賞した61歳(大会当時)の沼田初恵選手。あることがきっかけで筋トレを始め、世界のステージに上がるまで彼女を突き動かした原動力とは?
沼田選手は現在62歳。トレーニングを開始してから来年で10年になる。そもそもトレーニングをスタートしたのは53歳のとき。運動中に起きたケガから始まる。
「トレーニングを始めた理由は複数あります。ママさんバレーで前十字靭帯断裂、半月板損傷のケガを負い、靭帯再建手術後、たまにプレーをしていました。しかしその最中に膝のゆるみを感じることがありました。そして53歳の初夏、前年に着ていたワンピースが入らなくなってしまったんです。数カ所のスポーツクラブやジムを体験後、ゴールドジムに入会しました」
いきなりゴールドジムへ入会した沼田選手。その当時は仕事が忙しく、ウエイトトレーニングがストレス解消にもなっていたという。仕事が終わり、最寄り駅に23時に着いて、そこからそのまま近所のゴールドジムへ行き、トレーニングを行うことも多々あったという。
「トレーニングをしていると気持ちが落ち着くんです。ママさんバレーで痛めた箇所も、トレーニングで治まったりしていたので、ますますトレーニングに熱中するようになりました」
そんな沼田選手、今度はママさんバレーで右手小指を骨折し、休部中にウエイトトレーニング三昧になったことも。それがきっかけで雑誌の読者モデルに誘われる。
「『Woman’s SHAPE』の読者モデルに誘われ、それは楽しかったです。その後、健診のオプションで受けた腫瘍マーカーが陽性になり『このまま死ぬならやったことないことをやってみよう』と、ジムでトレーニングしていた他の女子と誘い合って大会に出場することに。後の精密検査では健康に問題はなくなりました」
沼田選手が大会に出場するきっかけとなったのが、雑誌での掲載と、健康診断での思いがけない診断だった。しかし、大会に出場するようになっても仕事で遅くまで働き、終電で帰路につくことが増え10日くらいトレーニングができないこともあった。それでもトレーニングをすることで、心と身体のバランスを保つことができ、トレーニングに心身ともに救われたという。
トレーニングはパーツごとに細かく分割して行い、その方法にも沼田さんのこだわりがある。
「まずはフォーム。ジムの鏡で確認。不安なときはトレーナーにフォームチェックをしてもらうようにしています。次にテンポと呼吸です。これを合わせると、体幹も使うことになり安定したフォームになる気がします。そして必ず追い込むこと。追い込まないのはただ動くだけの運動であって、きつく追い込んで初めて“トレーニング”と言える、と思っています。また、そのときの体調に合わせてトレーニングを行います。最近、スクワットやデッドリフトのときに痛みはないんですが、腰がゴリゴリする感覚があるので、そういうときは高重量はやめて、違うアプローチで追い込んでいくようにしています」
還暦を過ぎても行っていることは若者となんら変わらず、丁寧に激しく追い込むのが沼田選手である。
昨年は女子フィジーク、ボディフィットネスと2つのカテゴリーで成績を残し、世界大会でも活躍を見せた沼田選手。今年も出場する大会では常に入賞以上を目指す。
「70歳までは大会に出場したいです。トレーニングもそこまで続けるつもりです」
年齢という数字は重ねても、成長を続ける沼田選手のゴールはいまだ見えない。
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介
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