コンテスト

ピラティスはマッチョこそやるべきメソッド?【 Shiecaと学ぶピラティス with 菅原順二① 】[Yoga&Fitness]

カラダづくりのメソッドとして女性を中心に人気の高まるピラティス。
でも、「体力的にキツそうなイメージ」
「じつはどんなものかよく分からない」といった声も。
そこで、ピラティスのマスタートレーナー、
菅原順二さんにレクチャーいただきながら
ピラティスインストラクターの資格も持つ Shiecaさんとともに学んでいきましょう。

ピラティスが生まれた背景

シエカ
今回は、ピラティスが生まれた背景について少し学んでみたいと思うのですが、
今の女性的なイメージとはだいぶ異なったルーツを持つようですね。

菅原
僕自身、ピラティスには「モデルやダンサーの女性がやるヨガの一種」というイメージがあり、自分には無縁なものだと思っていました
でも、その歴史を調べていくうちに面白くなっていったんです。
なぜジョセフ・ ピラティスさんがこの身体操作法をつくったかというと、もともと彼は病弱でいじめられっ子だったという説もある。それを克服するためだったそうです。

シエカ
彼はボクシングやウエイトトレーニングもやっていたそうですが、
根底には「強くなってやる」という反骨精神があったのかもしれませんね。

菅原
それに彼はギリシャ系のドイツ人で、古代ギリシャや古代ローマの哲学にも興味を持っていた。
当時は彫刻や宗教画でも分かるように肉体美礼賛の時代。
彼の出自からもその思想があったのではないかと推測 できます。
そうしたことを踏まえて、端的に僕が出した結論は

「ピラティスってマッチョこそやるもの」

ではないかと(笑)。

シエカ
イメージと真逆ですね!
でも、ジョセフさんの著書を読むと確かにかなりワイルドというか、荒っぽい感じで。
強さやパワフルさを求める感じがします。
病弱だったという背景からしても、成り立ちは体を強く元気にするためのものというシンプルな考えだったのではないかと感じます。

そもそも当初は「ピラティス」という名前でもなかったとか。

 

菅原
お弟子さんが師匠の名前を残すべく後につけたもので、もともとの名前は「コントロロジー」。
体のコントロールに関する学問という意味です。
実際、彼の著作には運動や身体操作に関する彼の哲学が詰まっている。
まあ、「みんな運動不足なんだから運動しろ!」という、これまたワイルドな内容ですが(笑)。

シエカ
ピラティスを学んでいくと、「コントロロジー」という名前のほうがしっくりくる気がします。
まさに体の操作法、コントロール力を上げるメソッドですよね。

菅原
残された写真や動画で彼の体を見ると、マッチョなのに柔軟性も高いし、
隅々までコントロールできているように感じます。
偏りもあまりなくてトップアスリートみたい。
そう考えると、「単に体を鍛えればいい」という概念ではなかったはず。

シエカ

筋肉をつけさえすればいいのではなく、「動きを鍛える」。

 

菅原
ですね。今で言うと体を機能的、効率的に使えるようにする「ムーブメントトレーニング」ですよね。
それを、100年前にすでに考えていたわけです。

シエカ
彼は戦時中、傷病者のために寝たままでも運動機能を回復できるメソッドや、数々の手作りマシンを考案し、その後ドイツからアメリカに亡命したんですよね。

菅原
NYのマンハッタンに住んだのですが、そこで彼の身体操作法をリスペクトし、後世に伝えていくことになるのがバレエダンサーなどショービジネス界の人たち。
もし、弟子がダンサーではなくみんなアメフト選手だったら、ウエイトをつけて運動したり、
もっとフィジカルなものになっていたかもしれない。

シエカ
それはそれで面白いですね。 創始者の人となりを知るともっと興味が湧いてきますし、好きになりますよね。

菅原
つくられるまでのストーリーを知ることは、メソッドの本質に触れるということでもありますよね。
僕が「以前ラグビーをやっていて、今はピラティスをやっています」と言うと、
「え、全然関係ないでしょう」と言われるけど、
本質について学べば学ぶほど自分にはピッタリだと思いました。
ラグビー時代はいつもケガに悩まされ、それを力で何とかしようとしていたけど、
柔軟性コントロール、この自分に足りなかった二つの要素をピラティスが埋めてくれた。

現役の頃に出合いたかったという後悔があるから、今のアスリートにも後悔しないように教えてあげたいなと思っているんです。

 

 

 

シエカ 1979年生まれ。
フィットネスライフコーディネーター/フィットネストレーナー/ ReebokONEアンバサダー。
運動経験ゼロであったが、体型の崩れをきっかけに2007年、27歳で筋力トレーニングを開始。
JBBFボディフィットネスに出場し、東京・関東(初代)・東日本(初代)大会チャンピオンとなる。
2010年に全日本大会準優勝、11年東アジア選手権代表に選出。
実体験も交えながら、トレーニングや食事など日々のケアを提案する活動を展開中。
公式ブログ http://ameblo.jp/beautybuilding/

菅原順二 1978年10月28日、東京都出身。
全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)/ Body Element Pilates マスタートレー ナー/トレーニングスタジオ アランチャ 代表。
法政大学ラグビー部でプレー後、単身ニュージーランドへ渡りNZISに入学、トレーニング学などを学ぶ。
帰国後ピラティスと出合い、マスタートレー ナーの資格を取得。
パーソナルトレーナーとしてラグビー選手、プロ野球選手などトップアスリートを指導するかたわら、全国を周りピラティス、マスターストレッチ、ボディキー、呼吸法などをレクチャーしている。
パーソナルトレーニングスタジオアランチャ公式サイト http://www.arancia78.jp/

Yoga&Fitness Vol.04掲載

取材・文●藤村幸代 
撮影●中原義史

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佐藤奈々子選手
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