トレーニング

栄養とトレ―ニングのスペシャリストが考える「減量の5箇条」 前編

サプリメントは年齢と状況に応じて活用する

桑原 減量系のサプリメントは、燃焼・運搬・分解などとたくさんありますが、多くは肥満気味の人のためのものです。減量中で、すでに普通の人より体脂肪率の低い人が飲んでも、効果を実感しにくいでしょう。だからこそ、減量幅の大きい人は、減量系のサプリメントを使って、オフの期間にいつもより体重が増えないように抑える、減量初期に使うなどと活用してもらえたらなと思います。またその役割を理解しておくことも大切です。例えばCLAやカフェイン、コレウスなどは分解、カルニチンは運搬、ガルシニア(HCA)は燃焼といった具合にです。

鈴木 私は、昔は減量系のサプリメントも飲んでいましたが、今はまったく飲みません。飲むならカルニチンくらいですかね。明らかに発汗量が増えるので。

桑原 体内にカルニチンが少ない状態だと脂肪の運搬がうまくいきません。飲めば飲むほどいいというわけではありませんが、年齢とともに体内での合成量が減ってきますから、30代半ば以降の人はなるべく飲んだほうがいいと思いますよ。サプリメントは、年齢や状態に合わせてうまく使うことが大切です。

鈴木 私も、年齢を重ねて少しずつ摂るものが変わってきました。最近は、亜麻仁油やオリーブオイルは、そのまま飲んでいますし(笑)。

桑原 いいですねー、ボディビルダーっぽいね(笑)。

鈴木 だから、オイル系のサプリメントは飲んでいません。あと、カフェインがしっかりと配合されているファットバーン系のものは、体に合わないので飲みません。カフェインを摂ると動悸が激しくなるのと、摂らなくなったときに日中だるくなってしまうからです。ただ、汗が出て気持ちいいという人もいるので、合う人にはいいんじゃないかと思います。

桑原 十人十色ですから、自分に合ったものを見つけられるといいですね。

鈴木 他のサプリメントで言うと、夜中起きてしまったときにはグルタミンを飲むようにしています。

桑原 おーいいねー!

鈴木 そうすると、起きたときの筋肉の張りがいいんです。

桑原 メカニズムを説明すると、睡眠時は飢餓状態で筋肉がカタボリックに傾くので、グルタミンやEAAを飲むと筋の分解を抑えられるんです。昔、ボブ・サップがわざわざ目覚ましをかけてでもやっていたと聞きましたが、私のように50代も後半になると夜中に目が覚めてトイレに行きたくなります。それを逆手に取ってグルタミンを飲むようにしたら、僕も次の日すごく調子がよかったので、セミナーなどで皆さんに勧めています。でも、鈴木さんもやっているとは知らなかった。

鈴木 いや、私も桑原さんが勧めているとは知らなかったです(笑)。ただ、グルタミンの効果を感じ始めたのは、35歳を超えてからでした。背中のトレーニング後ですら、グルタミンを飲まないと、寒気がするようになりました。

桑原 トレーニング強度が高いってことでしょうね。僕なんかそこには及びませんが、たまに高強度のトレーニングができた日は、風邪の初期症状のような、体のだるさを感じることがあります。そのまま放っておくと、次の日から微熱が出たり、体調を崩したりするので、強度の高いトレーニング後はグルタミンを飲むようにしています。鈴木さんは、ほぼ毎日ハードなトレーニングをしているんですよね。どうやって毎日リカバリーしているのか、すごく疑問なんです。普通に寝て、起きたらリセットされているんですか?

鈴木 若いときはそうでしたが、今はそうでもないですよ。トレーニング前に動きのあるストレッチを入れ、さらにはトレーニング中は、ストレッチを挟んで血流と交感神を上げてからMAXにもっていくようにしていますし、サプリメントにしても、着るサプリメント(ベネクス)などの新しいものを取り入れつつ、うまく活用しています。逆に、ないと正直もうキツイです。

桑原 なるほど。僕は、ハードなトレーニングをしても次の日に疲労を引きずるだけなので、強度ではなく頻度でカバーするために、年間300回のワークアウトを掲げています。どうしても疲れが溜まっている日は、ほんの少しのトレーニング自体は行って、満足するようにするんです。だから、リカバリーの仕方はすごく知りたかった。

鈴木 ただ、私の場合は、きちんと栄養を摂っているので、むしろ減量中のほうが元気なんです。減量していないときのほうが、だれていてすぐ体調が悪くなります。トレーニングが終わった後の、全部が空っぽになった感覚は、減量時のほうがあるので、そんなときにグルタミンを入れると効果をより実感しやすいと思います。変な話、減量中のほうが体調はいいので、このまま1年間大会に出ないと自分はどうなってしまうんだろうって…(笑)。

桑原 でも、それも減量中にきちんと食べているがゆえですよね。

鈴木 昔はそうでもなかったんです。2010年に日本一になった後は、ギリギリでやっていて結構ヘロヘロでした。余裕を持ってできるようになったのは、ここ5年くらいかなと思います。

続けてお読みください
▶栄養とトレ―ニングのスペシャリストが考える「減量の5箇条」 前編

桑原弘樹
1961年4月6日生まれ 愛知県出身。立教大学卒業後、江崎グリコに入社。スポーツサプリメント事業を立ち上げ、スポーツフーズ営業部長などを歴任し、現在はアドバイザー。桑原塾を主宰し、100人以上のトップアスリートのコンディショニング指導も行っている。

鈴木雅 プロフィール
1980 年12月4日生まれ 福島県出身。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、東京選手権大会で優勝。2010年から日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80kg 級、世界選手権80kg 級と2つの世界大会でも優勝を果たした。


-トレーニング
-, , , ,