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根拠もなく避けてない?筋トレ王道種目である奥深い『BIG3』の世界

筋トレの王道『BIG3種目』。正しいフォームで行っているだろうか? 根拠なく避けてはいないだろうか? そもそも必要なのか? ここではよくあるBIG3のボディメイク目的で行う際の疑問を加藤直之さんにお答えいただいた。

文:藤本かずまさ、木村卓二 監修:加藤直之 撮影:岡部みつる

ベンチプレス、スクワット、デッドリフトを知る

Q:BIG3の効果は何でしょうか?

A:BIG3は筋肥大において土台となるトレーニングです。マシンを中心に使ってトレーニングをされている方であっても、BIG3ができると、マシンの効かせ方も変わってきます。身体の使い方が上手くなるからです。BIG3はダイナミックな動きの中で、たくさんの筋肉を動員しながらも、バランスを微調整していくような繊細な種目でもあります。例えば、スクワットの重りをかついでしゃがんで立つ動きには基本が集約されているといっても大げさではないと考えます。このような動作が上手くできないと、身体が機能的に動かないので、筋肉に効かせることは難しいのではないでしょうか。このような理由から関節に問題がなければ、やるべきでしょう。

Q:重量にこだわるべきでしょうか?

A:難しいところですが「ある程度こだわる」というのが私の答えです。重量にこだわり過ぎると、ケガもします。他には、重量を上げることばかり考えていると、いかに可動域を減らすかということに焦点が移ります。現に、私はそのような時期がありました。そうなると目的が違ってきますよね。そこの、はざまです。身体づくりを目指すのであれば、自身の基準となる可動域を決め、その中で伸ばせるところまで伸ばす。まずは、そこが大事だと思います。
重量は追い求めるべきですが、そこは無限ではありません。年齢を重ねると、関節の負担も大きくなります。あくまで筋力は筋肥大の要素の一つです。私の経験を踏まえると、20代~30代前半は筋力を伸ばすことにBIG3を活用し、30代後半あたりからは重量にこだわりすぎることなく継続して行うのがいいと考えます。私は現在40代。30代後半のころに、BIG3の取り組み方を少し変えました。トレーニングの最初に行う場合は全身のウォーミングアップやその日のコンディションの確認、最後に行う場合は筋力の維持という意味で行っています。現在のトレーニングでは、ある程度の重量を挙げてはいますが、本数はかなり限定しています。
ただし、重量が伸びると楽しいという要素もあります。これはトレーニングに対する大きなモチベーションとなります。

Q:BIG3は誰にでも必須でしょうか?

A:ある程度やり込んだ上でルーティーンから外すのはいいと思いますが、行っていただいた方が良い種目です。繰り返しになりますが、全身の使い方、連動のさせ方、バランスなど、基本的な身体の使い方を習得できるからです。初心者の方でしたら、まずはマシンでトレーニングができるようになってからBIG3に取り組んでください。中級者以上でしたら目的に合わせて取り組むといいでしょう。筋力メインに考えている場合は第一種目として、筋力維持と考えている場合は最終種目として行うことをおすすめします。その中で、基本的なフォームができていて、目的によって可動域をハーフやクウォーターに変えていくのはいいと思います。例えば、デッドリフトの場合、フルレンジだとハムストリングや殿部、脊柱起立筋が大きく関与します。そういった効かせたい筋肉の、使い分けができていればいいと思います。スクワットが「キングオブエクササイズ」と呼ばれているのは読者の皆さんはご存知だと思います。下半身をメインとした全身種目で、心肺機能強化、そのキツさゆえに精神面の強化ができると言われ、トレーニングの全ての要素が網羅されているためです。
BIG3が正しくできるということは、身体がうまく協調し合っているわけですから、ケガの防止にもつながります。生涯トレーニングを長く続けていくためにも、アスリートから一般トレーニーまでBIG3は行うべきと考えます。動きの補強、ボディメイク、全てに共通する全身運動がBIG3です。


加藤直之(かとう・なおゆき)1981年生まれ、埼玉県出身。身長161㎝、体重69~71kg(オン)74~75kg(オフ)。トレーニング以外の趣味:子どもの寝顔を見ること。「親バカです(笑)」
主な戦績:
2005年千葉県ボディビル選手権優勝/2008年関東クラス別選手権75kg級優勝/2011年関東ボディビル選手権優勝/2012年ジャパンオープン選手権優勝/2013年日本選手権9位/2014年日本選手権11位、日本クラス別選手権70kg級優勝/2019年日本選手権3位、日本クラス別選手権70kg級3位、2021年日本クラス別選手権優勝、日本選手権4位、IFBB世界選手権40ー44歳80㎏以下級3位


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。


執筆者:木村卓二
TVディレクター、記者として活動。複数言語に通じ、「究極のトレーニング」を求め、研究と取材に勤しむ。有資格パーソナルトレーナーとして、格闘家などへの指導も行う。

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