ケトルベル通信では、世界のトップケトルベルリフターたちに登場していただいていますが、豪華とも言えるトップKBアスリートたちにデモンストレーションをしていただけるのは世界でもこの『ケトルベル通信』だけです。今回はアメリカのトップケトルベルリフターの一人で、ネブラスカ州在住のビル・エッシュが写真モデルです。ビルはケトルベル指導歴9年、32㎏ダブルロングサイクル種目で81レップスを上げ、アメリカ記録およびMSICタイトル保持者です。今回はビルに、コンディショニング・エクササイズからコアストレングス強化までバラエティーに富んだ4種目をデモンストレーションしていただきました。
文・写真:Nazo
1 スタンディング・オブリーク
オブリークは傾いたという意味ですが、このエクササイズはシンプルに上体を左右に傾かせるムーブメントで、サイドベントとも呼びます。 一般にはダンベルで行いますが、ここではケトルベルで行うことでケトルベルを持っている側の負荷がさらにかかります。これはコアストレングス強化および腹筋をストレッチさせる運動です。またケトルベルを一方の手に2つ持つことで握力強化にもなります。
①ベル2個を一方の手に持ち、足は肩幅のスタンス。もう一方の 手は頭の後ろに添える。
②下半身は動かさずに腰から上だけを、腹筋がしっかり伸びきるのを感じるところまで一方に傾ける。そこで1〜2秒静止。
③一度直立状態へ戻る。
④反対方向へ傾ける。これを数レップス繰り返したら、左右にベルを持ち替えて同じ動作を行う。
慣れてきたら徐々にベルの重量を上げてゆく。
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2 ダブル・ベント・オーバーロウ
以前紹介したシングル・ベント・オーバーロウのダブル編です。前回のシングルベルの場合は、足のスタンスは前後(ランジスタイル)に置きましたが、今回のダブルベルの場合は足を左右平行に開きます。背筋や上腕二頭筋の強化に有効です。
①両足の間にケトルベル2個が置ける幅のスタンスをとる。背中が猫背にならぬよう注意。
②腹筋と脇を引き締め、両肘を体の後方に引いて一瞬静止。このとき肘が外側に向いてしまわないよう注意。
③肘を戻しベルを床近くまで戻すが、ベルを床に置く一歩手前で再び次のレップを行う。これを数レップス繰り返す。
3 クラッシュ・カール
クラッシュ・カールは、主に上腕二頭筋、肩周りそして胸筋等の強化に有効です。ケトルベルで行うクラッシュ・カールにもいくつかの方法がありますが、今回はスクワットとオーバーヘッドのポジションを加えることで、アストレングスや下半身の強化も同時に行えます。
①フルスクワット状態から、両手のひらを大きく開いてベルを両側からしっかりつかむ。
②ベルを胸部まで上げるが、両方の手のひらは常にベルをクラッシュ(つぶす)させる勢いでガッチリと両側から力をかける。(矢印参照)
③~④~⑤にかけてベルはそのままの状態で立ち上がる。
⑥腕と足が完全にロックアウトされ、ベルはオーバーヘッドのフィクセイションの状態でそのまま一瞬静止。腕がしっかりストレッチされること。
⑦~⑧~⑨にかけて再びスクワットに戻るがベルも1の写真の状態に戻る。
4 ハイ・プル
ケトルベルのハイ・プルもシングル、ダブル両方で行うことができますが、今回はダブル・ハイプルを紹介します。このエクササイズは、前腕筋、肩まわり(三角筋僧帽筋、広背筋等)、股関節、殿筋、大腿四頭筋からハムストリングスまであらゆる箇所の強化が可能です。一般的にはベルを床に置いた状態から行いますが、ここではベルを床から少し浮かした状態から行います。
①背中は真っすぐ、ハーフスクワット状態で手の甲が正面に向く状態からダブルベルをしっかり握る。
②ベルが数センチ床から浮いた状態からベルを胸まで引き上げる。
③体は直立し両肘は肩より上に、そして外側に向く。脇腹がしっかりとストレッチされるのを意識する。
④ベルを下に下ろす際、ベルよりも先に上半身が前のめりにならぬよう注意。
⑤1の状態に戻るが、この時もベルを床につけず、少し浮いた状態から次のレップを行う。
Nazo
ケトルベル(KB)・インストラクターおよびコーチ。OKCJ代表・ヘッドコーチ。元OKCインターナショナル・ディレクターおよびヘッドコーチ。国際ケトルベル連合の元日本代表。2015年のIUKL世界大会には日本から初めてナショナルチームを引率しアイルランドのダブリンへ行く。日本で初めてKBスポーツ競技会の開催を始めたKBスポーツにおける日本の開拓者(フロンティア)でもある。訪日イベントでは、資格コースの指導者であるとともに通訳、マニュアル本の制作と翻訳も行う。また、米国フィットネス雑誌アイアンマンの日本版、アイアンマンジャパンではケトルベル記事を執筆。現在はジム勤務や競技生活の現役をリタイアし、主に個人指導、トレーニングのプログラミングおよびオンラインなどでKBやフィットネスの執筆活動などを行なっている。
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