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53歳・ウォーキング講師がしなやかな健康美で観客を魅了して優勝!「ボディメイクのための食事こそ娯楽である必要がある」

町田知美さんボディコンテストに出場している人はさぞ過酷なトレーニングと食事をしているのだろう、というイメージを大きく覆す一人の女性がいる。10月9日(月・祝)、ウインクあいちで行われた『Super Body Contest(SBC)2023』愛知大会(AICHI10)MONARCH(40歳〜年齢無制限)クラスで1位、そのまま10代も出場する全年代での対決となるChampion of the showでも1位の成績を勝ち取り会場を沸かせた、町田知美(まちだ・ともみ/53)さん。大会出場歴は6年、数々の受賞歴と昨年の『SBC FINAL(全国決勝大会)』同部門・総合で3位の成績を持つ歴戦者だ。

【写真】町田知美さんのしなやかな健康美

町田さんは大会出場を機に、50歳目前で今までのキャリアを離れフィットネス業界に就職、現在はモデルスクールのウォーキング講師と、バレトンインストラクターとして活躍する異例の経歴の持ち主でもある。そのボディメイク歴と内容は、「大会出場者として一線に立っている」という人物像から想像のできないものであった。

「通っていたジムにたまたま撮影に来たフィットネスモデルの方の身体のかっこよさに魅了され、それまでスタジオレッスンだけだったトレーニングに筋トレを入れたのが、本格的にボディメイクを始めたきっかけです」

「ボディメイクは自己流ですごくスローに成果を出してきた方ですし、遠回りしてきました。“ああいう(筋肉美の)身体になるためには女性向けの指標とされている重量では足りない”と聞き、よく分からないままスクワットやラットプルダウンを必死にやっていたら、太腿の前面だけが巨大化したり、僧帽筋が大きくなってしまったりと、本来鍛えたかった場所ではない位置に筋肉がついてしまうといったこともありました(笑)。“どこの筋肉に効いてる”という感覚すら分からなかったところからのスタートです」

さまざまな曲折を経て、現在トレーニングとして選んだのは「グループパワー」という、20kg程度のバーベルとステップ台を用いて音楽に合わせてグループで筋トレを行うプログラムである。

「自分一人で自分を追い込むのは私には難しく、重量を扱うのもあまり向いていなかったので、低負荷で高回数のトレーニングであるこのプログラムはすごく相性が良いです。現在は週2回45分、このレッスンをメインで身体を作っています。ダイエットのための有酸素運動の時間もあえて設けず、その代わり移動を徒歩か自転車で行います」

ほぼ自己流とグループレッスンと生活習慣のみでのトレーニング。また、食事についても独自の視点からアプローチをしている。

「私の食事管理は大会用だけのボディを作るためではなく、『日常からメンタルもフィジカルもシェイプアップされて健やかになること』を前提にしています。ストイックにやっていた時期もあるのですが、常にギスギスして、“楽しみで始めたことなのに何のためにこんな苦しい思いをしているんだろう”という疑問がありました」

「辿り着いたのが、“日本古来の食事”という非常にシンプルな答えでした。和食はそもそも脂質が少なく、また、きちんと取った出汁を効かせる、調味料にこだわるなどの工夫で舌の五感が満たされると、身体に必要でないものをさほど食べたいと思わなくなるんですね。ストレスのない食事であれば暴食も起こらないと気づいてからは、体型の管理が楽になりました」

みりんの代わりに赤酒、原材料と製法の厳選された醤油、塩はリ・コエンザイムソルト、砂糖をてんさい糖、というように、素材の味を引き立て旨みを増すものを、さまざまに試しては導入しているという。

「元々、料理が好きなので食事には栄養だけでなく『楽しさ』や『彩り』といったものを必ず取り入れたいんです。タンパク質を摂取するとしても、ひじきの煮物、青菜のおひたし、切り干し大根といった副菜に鶏胸肉や卵を添えるとか、マグロの血合いを炊いたもの、鯵の南蛮漬けなど出来るだけ丁寧に作って食べたい。あとは気をつけているとしたら、総脂質を1日15g以内にしていることと、個人的な体質として合わない小麦を控えることくらいですね」

町田さんは、ボディメイクのための食事こそ「栄養摂取」ではなく「娯楽」である必要があると語った。

「大会はなりたい自分になるための段階の一つであって、結果だけに囚われると本来の意味を見失ってしまいがちです。私もかつてそうで、一度上がった成績を落とすことが許せなくなって、自分に非情なジャッジの目を向けて過酷な運動や食事管理に進んでしまいました」

そういう自分自身に葛藤した末に辿り着いたのは、「ボディメイクも大会も楽しむべきもの」という境地だった。

「大会に臨む気持ちはもちろん真剣ではありますが、動機はすごくシンプルで、“いつまでも可愛いお姫様でいたい”、“今日の綺麗になった私をみてほしい”です(笑)。非日常を楽しむ、子ども時代の発表会のときの気持ちと同じままですね。いつまでも綺麗でいたい、そこに必要なのは楽しんでできる運動と食事、あとは何でもチャレンジしようという意欲を失わないことだけだと思います」

町田さんのポジティブで純粋な動機と、楽しむことを忘れない姿勢は、生涯続ける習慣となるボディメイクにとって、非常に大切な視点ではないだろうか。

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取材:にしかわ花 撮影:上村倫代

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