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ベンチ190kg、スクワット210kg、デッドリフト260kg!? やり投げ選手にしてボディビルダーの27歳の大迫力の筋肉を見よ

野口夏貴選手ウエイトリフティングのオリンピアンの山本俊樹選手、元アメリカンフットボール選手の阿部ロイ選手。他のスポーツのバックボーンをもった選手のボディビル界への挑戦が目立った2023年。10月9日(月・祝)に開催されたマッスルゲート札幌大会でボディビル75kg超級で優勝、12月10日(日)のゴールドジムJAPAN CUPで同階級6位入賞の野口夏貴(のぐち・なつき/27)選手も、やり投げ選手とボディビルを両立し、学生時代には北日本インカレのやり投げで優勝するほどの実績を誇る。ベンチプレス190kg、スクワット210kg、デッドリフト260kgという圧倒的なパワーを誇る野口選手の大きな筋肉の源は、トレーニングへの飽くなき情熱だった。

【写真】やり投げ選手でボディビルダー・野口夏貴選手の極太の脚

「優勝という結果には『驚いている』というのが正直な気持ちです。本格的にボディビルを目指して初年度ということもあり、札幌大会当日は歴戦の方々のオーラに飲まれて、カーボアップで用意した食事もほぼ食べられず、普段と比べて筋肉が張っていない自覚があったので、それでも評価を頂けたことは日ごろの努力が認められたのだなと思います」

「最初は“その場を楽しめればいい”という気持ちでしたが、初戦であった群馬大会や札幌大会に出場する他選手の意気込みや気合いに感化されて、“勝ちたい”という意識も芽生えて臨んだ大会だったので、結果が出せて嬉しいです」

野口選手は学生時代をやり投げに捧げてきた生粋の陸上競技者である。ボディメイク競技への挑戦の経緯を聞いた。

「やり投げの過程でウェイトトレーニングはやりこんできたのですが、筋トレ自体がすごく好きで、陸上競技上では求められない部分(腕・肩など)もずっと個人的にやってきたんですね。やり投げでは『とにかく身体を大きくして瞬発的にパワーを発揮する』というのが主目的になるため、主にBIG3やクイックリフト種目がメインになるのですが、自主的にマシンでも細かく筋肉を作ってきました。そのため、色々な方に『ボディビル出てみたら』とずっと勧められてはいたのですが、憧れはありつつも絞った自分の姿というのが想像できなくて挑戦できずにいたのを、ようやく今年踏み出した形です」

周囲からの推薦どおり、初戦からその筋肉量は注目を浴び審査員を唸らせた。どのようなトレーニングによるものなのかという質問に返ってきたのは、非常に明快な答えだった。

「“好きゆえの探究心”の結果です。とにかく筋トレが好きで、試したいことを全てやっています。特徴をあげるとすれば分割数がかなり多く、現状10分割に腹筋をプラスし、1回に1〜2時間をダブルスプリットで回しています。たとえば胸だけでも上部・中部・下部と徹底的に攻めたいと思うと、それだけで1時間は超えてしまいます」

「でも、それでもむしろ自分としては抑えているくらいで、5分割ではやりたいことが多すぎて延々とやってしまうため、翌日に疲労を残さないために細かく分けて、4日以上はトレーニングを連続させないルールにするなど、セーブしている感じです(笑)。なので、これをしたから明確に筋量が増えたというより、やりたいことをやり続けていたら結果が伴っていたという感覚に近いですね」

課されるとすれば過酷としかいいようのないメニューを、燃えたぎる情熱のみで打ち込み続けたことが窺える屈託のない笑顔。まさに「好きに勝る努力はない」を体現する姿勢である。

「ただ、元々鍛え上げてきた地力はもちろんボディメイクにも活きていると思います。高重量を扱える肉体の素地ができているということは、アウトラインにも筋肉そのものの厚みとしても、バックボーンとして大きな強みだと感じています。記録例としては、ベンチプレス190kg、スクワット210kg、デッドリフト260kg、クリーン&ジャーク130kg、バックジャーク110kg、スナッチ90kg、レッグプレス500kgなどです」

「重量は今後も追っていきたいですが、課題を挙げるとすれば、陸上競技としてのトレーニングとボディメイクとしてのトレーニングの違いとして、重量は持てても“効かせる”という意識がまだ掴みきれていない部分はあるので、そこはさらに磨いていきたいですね」

今後の目標について、来年はJBBFボディビルへの出場を優先して、勝ちにいきたいと語った。

「やはりバルク派の大きな身体への憧れがあるので、ダーティバルクをいとわずガンガン攻めたサイズアップをメインに、まだ不慣れな部分が多く課題となっている絞りに関しても追求していきます。ただ、過剰な勝利欲求は返って負担になり心が濁るので、『内容が良ければ結果はあとで付いてくる』という陸上時代の恩師の教えを胸に、毎回、毎レップを大切に全力で取り組んでいきます」

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取材:にしかわ花 撮影:北岡一浩

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