「絶対無理だと思っていたんですけど、 まさか優勝できるとは…」
7月30日、石川県金沢の文教会館で開催されたオールジャパン・ジュニアフィットネスチャンピオンシップス 2023。23歳以下のフィットネス競技者の日本ナンバーワンを決するこの大会。ビキニフィットネスを制した鷲見更紗(すみ・さらさ/23)選手は試合後、バックステージで驚きを隠せずにいた。
「コンテストに出場したのは、これが初めてなんです。以前から興味は持っていたのですが、出身地が田舎だったので、なかなかきっかけがなくて」
中学・高校では陸上競技に取り組み、その延長で自己流のトレーニングを開始。今年4月に地元の北海道から上京し、フィットネスクラブに就職。偶然にも同じ職場にいたのが、オールジャパン・ビキニフィットネス・マスターズ2位などの実績を持つ三井直美選手。鷲見選手は意を決して三井選手に相談。コンテスト出場への道が、一気に開けた。
「大会に向けてのトレーニングを本格的に始めたのは6月の初旬からです。当初はジュニアの大会があることを知らなったのですが、 私は今(リミットの)23歳なので、三井さんにも『出るしかない』と背中を押していただき、出場することにしました」
ほんの数カ月前に社会人デビューしたばかりで、一人暮らしもこれが初めて。慌ただしい生活を送りながらも調整を進めて、コンテスト初戦で初優勝。現実に実感がおいつかないのも、頷ける話ではある。
「毎日すごく忙しかったので、今後の大会出場については、ちょっと考えたいです。でも今回、優勝させていただいたので、どうしようかな……」
人生の転機は、いつも突然やってくる。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介