『2023年全日本学生ボディビル選手権大会』で東京大学はボディビル団体5位となった。その立役者となったのが、農学部4年生の若林恭佑(わかばやし・きょうすけ)さんだ。端正な顔立ちと長い手足を持つ選手で、会場を包む応援団の声からも信頼の厚さを感じる選手だ。就活、論文など忙しい中での減量は大変だったというが、その際の工夫について語ってもらった。
関東学生ボディビル選手権大会では2位、全日本学生選手権では6位と好成績を残した若林さんだったが、学業との両立での苦労はあったのだろうか。
「今年は普段のトレーニングや勉強と並行して論文の作成がありました。僕は農学部なので学校外で1日中調査をするという日が何度かありました。減量食を持参し、いつもとは違った環境で栄養を摂ったり、その中でトレーニング時間を確保するという事に少し難航した部分はあったと思います。減量食の内容は鶏胸肉と玄米をメインにしています。まとめて調理をして1食分ごとに小分けにして持ち運んで食べていました。また、論文の他にも就職活動があります。面接と面接の間に持参した減量食を食べるという場面もありました」
減量中にこだわっていたことはトレーニングの質。
「減量末期に突入してもトレーニングの質、トレーニングのボリューム、そして時間、それらの質を落とさず、きっちりジムを後にするということは常に心がけていました。今までの自分は体重が減っていくことと比例してトレーニングのボリュームが下がってしまっていたのですが、今年は逆に食事をしっかりと管理しボリュームは落とさないようにして良いトレーニングができていたと思います」
東京大学ボディビル&ウエイトリフティング部(B&W部)は名門で、東京大学名誉教授でボディビルの日本一に輝いた実績もある石井直方氏や、クラシックボディビルなどで活躍中の野上駿選手などを輩出している。
「東京大学B&W部OBの野上さんを心から尊敬しています。身長も自分と近いです。大学を卒業されてからも多くの場面で活躍をしていて総合的な美しさを持っている選手なので憧れているボディビルダーの一人です。絞りと筋量とポージング、総じて素晴らしいのでずっと追い続けています。普段からコミュニケーションを取るようにしていて今大会でもポージング指導をしてくださいました。最終調整時にも相談に乗っていただきました」
若林さんのOBからの教えを乞い、伝統をつなぐ姿は凛々しくステージで輝きを放っていた。
取材・撮影:塚本萌子 構成:FITNESS LOVE編集部