シェイプ&ビューティー

筋肉博士、石井先生に聞く!しなやかなウエストラインをゲットするための秘訣とは!?【後編】

コアの意識化でも効果があるというのは嬉しいお話。
忙しい人は日常生活を有効に使った方がいい

ドローインをしながら運動をすることで、
コアの深層筋を効果的に鍛えることができます

 先生は以前から、経験的に部分痩せというかお腹だけ締めていくということは可能じゃないかとおっしゃっていましたが、それはトレーニングで追い込むことが難しい、一般の女性でも可能なのでしょうか。

石井 たくさんの人を見た結果、可能だと思います(笑)。ただ、お腹の状態がよっぽどヒドい場合ですね。ちょっと筋肉を使って、そんなに意識しなくてもちゃんと使える状態にしてあげるだけで細くなります。

 それだけで、だいぶ以前より締まってくると。

石井 一番極端な例として、大腰筋や腹直筋を使うようなそれなりの運動を10日ぐらいやってもらっただけで、ウェストのサイズが12㎝も細くなったっていう若い女性がいたぐらいです。元のウェストが82、83㎝ぐらいですけど外見は全然太っていなくて、お腹周りだけ悩みだっていう方ですが、その人が10日ほどで70㎝ぐらいになりました。

 それ以前はそれだけ筋肉を使っていなかったということでしょうか。では、使っていなかった筋肉を使うことで部分痩せもある程度までは望めると。

石井 部分痩せという言い方が適切かは分からないですけど、速効的に締めることは割と可能で、それこそ息を吐いただけで5㎝細くなりますから(笑)。まぁそれは極端にしても、それに近い状態をキープすることは
できるのです。本来は上半身がブレないようにしっかり体を支えているべき体幹の筋肉が全然機能していない人の場合、歩いてもグニャグニャしたり、座ってもデレっとしてしまう。それを回避して、体幹の筋肉が働いて上半身をそれなりに固めているという状態にしてあげれば、サイズ的には細くなりますよね。

 最近、栄養と運動が不足することで筋肉が脂肪に変わるということをTV番組で取り上げていました。一般的に筋肉は脂肪にはならないと理解していたので驚いたのですが、これについてもぜひ教えて頂けないでしょうか。

石井 筋肉が脂肪に変わるという言い方は語弊があるかもしれませんが、これは専門用語で脂肪置換と言います。どういう時にこれが起きるかと言うと、今まではっきり報告されているのは2つの場合です。1つは非常に強い筋肉の障害が発生した場合。筋肉がひどい肉離れとか、ひどい損傷を起こした時、本来であれば筋肉ができて治るべきところに結合組織と脂肪がついてしまう。筋肉ではなく脂肪と結合組織が、穴埋めするようにそこを埋めちゃうんです。そういうことが起こります。もう一例は、特に障害を起こしたとかそういうことじゃなく、自然に人が年を取ってきて加齢とともに筋肉が細くなっていきます。そうすると筋肉の中にいわゆる霜降りのように脂肪、サシが入り込んでくるんです。筋委縮しながら筋肉が霜降り状態になっていく。これが筋肉内脂肪と言われているのだと思います。

 では加齢に伴うものに関しては、筋委縮しないよう、それを食い止めるようにトレーニングをすれば筋肉
の脂肪置換という現象は回避できるのでしょうか?

石井 明言は出来ませんが、なりにくいということは推測できます。脂肪置換という現象は、筋肉組織が脂肪になるということではありません。筋肉の細胞が小さくなって、そのために生じた隙間に新しく脂肪がはびこってくるというだけです。畜産で運動させずにやたら食べさせるということをすると、松坂牛の霜降りロースやサーロインとか、肉の中に脂肪が含まれているような牛が出てきます。ああいう牛は出荷時期を逃すと生活習慣病で死んでしまいます。運動不足で筋肉が脂肪に変わってしまうという報告はありませんが、若いうちから筋肉にサシが入ってくるようでしたら、これはちょっと心配した方がいいかもしれません(笑)。

 人に置き換えて考えるとドキッとしますね。

石井 加齢に伴う現象として、筋量が低下することと、そこへ脂肪が入り込んでくることはハッキリしています。そこで筋トレをして筋肉が太くなったからといって、筋肉の中の脂肪が消えたということは立証されていませんが、筋肉の中で正常な反応が起きていれば筋肉の中に脂肪ができるということはありえません。だから、そういった正常な筋肉の働きというのを途切らすことなく若いうちからやっておくことが大事だと思います。若いうちから筋肉を衰えさせないよう注意しましょうというのが、一番確かな加齢対策のやり方だと思います。

 今の美しさのためだけでなく、加齢対策としても筋トレがいかに重要かということを改めて実感いたし
ました。今回も貴重なお話をありがとうございました。

いしい・なおかた
1955年、東京都出身。東京大学大学院教授、理学博士。
全日本ボディビル選手権優勝(81・83年)、アジアボディビル選手権優勝(82年)ほか、ボディビル競技での輝かしい実績を誇る。
トレーニングをテーマに次々にベストセラーを世に送り出す“筋肉博士”。

もり・ひろこ
ソライナ株式会社にて、プロテインや健康食品の企画・開発を行う。
ボディフィットネスでは東京大会4連覇、2016年には8年ぶりに大会に復帰し、関東オープン・フィットネスビキニ163cm超級で優勝を飾る。

取材・文_長谷川亮
撮影_t.SAKUMA 
「Woman’sSHAPE Vol.04」2011年12月掲載


-シェイプ&ビューティー
-, , , , , , ,