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ボディメイクに脂質は悪者?上手に付き合うポイント

ボディメイクに脂質は欠かせません。脂質はともすると悪者にされがちですが、紛れもなく三大栄養素のひとつであり、非常に重要な役割を担っています。「脂質は悪」というイメージがありますが、脂質についてしっかり理解し、上手に付き合うことがボデイメイキング成功のポイントです。
文 Woman’sSHAPE編集部

脂質が悪者になった背景

人類の歴史は飢餓の歴史と言っても過言ではありません。幾度となく訪れた氷河期によって、常に飢餓と戦ってきました。そんな何百万年もの飢餓の歴史を人類が乗り越えられた理由のひとつが、大きなエネルギー源となる脂質をはじめとするエネルギー源を脂肪として溜めこむ機能があったためです。近年、脂質は悪者扱いされる理由は簡単です。単に過剰に取り入れすぎているからです。似たような扱いを受けているのは塩分かもしれません。上杉謙信が敵対関係にある武田信玄に塩を送ったという美談が残っているように、塩分がないと人間の身体が機能しなくなるほど重要です。しかし発酵食品の多い日本食では必要以上に塩分を摂取してしまう傾向にあり、その結果として高血圧などにつながる問題が生じたため、脂質同様に敬遠されているのです。戦後直後は食糧難でしたから、脂質は今のように悪だとは言われていませんでした。ふた昔前まではメタボという概念もなく、太っていることはむしろ豊かさの象徴ともされていました。そんな脂質が現在では過剰摂取という理由で悪者となってしまったのです。

“おいしいものには脂質も多い

脂質はエネルギーの塊であるとともに、おいしさのもとであることも特徴です。おいしいものを食べようとすると、大概は脂質が含まれています。脂質を含んでいないタンパク質はほとんどありません。より正確に表現するなら、おいしいタンパク質を摂ろうとするとほぼ確実に脂質が含まれていることになります。欧米型の食事では、日本食よりもタンパク質が多いので、それに伴い脂質の摂取量も増えます。

日本人と欧米人の理想のPFCバランスの比較

日本人と欧米人ではPFCバランスが異なるという面白い比較があります。

日本人の理想はだいたい炭水化物が60%、タンパク質が15%、脂質が25%以下です。これが、欧米人の場合は、炭水化物が40%、タンパク質が30%、脂質が30%くらいになります。元来、農耕民族であった日本人と狩猟民族であったアメリカ人では望ましいバランスも異なるのかもしれません。欧米型はざっくりいうと、ごはん少なめ、おかず多めというような形です。どっちがいいか悪いかの問題ではなく、欧米型の食事を続けていると、日本人に適した本来のPFCバランスが崩れることになります。

減量で脂質を排除する理由

タンパク質の増加は身体づくりには望ましいことですが、脂質も増えることで問題が生じてきます。減量の際に脂質を排除していく理由のひとつとして、脂質の持つカロリーが大きいという点が挙げられます。つまり、より効率的にカロリーを抑えようとするならば、1gで9㎉をもつ脂質を抑えることが効率的というわけです。単純な発想として脂質を1g抑えれば、1gあたり4㎉のタンパク質や炭水化物を倍以上摂ることができます。そういった理由からも脂質を抑えるダイエット法は一般的に広まっていますし、それ自体は、間違ったことではありません。ただし過剰摂取の逆で、過剰に抑えすぎると、重要な栄養素であるがゆえにさまざまな弊害が生じる点も認識しておく必要があります。

教えてくれたのは…… 桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。


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