トレーニング

栄養とトレ―ニングのスペシャリストが考える「減量の5箇条」 後編

まとめ
まずは自分を知ろう

桑原 いろいろなトップビルダーのいろいろな減量法がありますが、それはその人個々にとっての正解であって、誰もが同じことをすればいいわけではないというのが、1つのポイントだと思っています。憧れの人のまねをするのはよくあることですが、よっぽど上手に取り入れないとうまくいかないんです。鈴木さんのまねをするなら、飲んでいるサプリメントだけではなく、トレーニングもライフスタイルも鈴木さんくらいにしないといけません。

鈴木 私も、ここ数年間で特に身にしみて感じているのは、自分を知ることの大切さです。私の場合、白米をたくさん食べると発汗量が多くてパンプもするんですが、玄米だとパンプしないし体重も減りません。小麦粉は、パンプはするけどむくんで体重は増えます。同じカロリー量でも、何を食べるかによってこれだけ違う。ある程度の期間をもっていろんなことを試すと、これを食べると調子がいい、これを食べたらダメだって、徐々に見えてくるんですよね。私は、乳製品と果糖が体に合わなくて、摂ると体重が落ちなくなります。逆に、それらを摂らないだけで体重は自然と落ちていくんです。自分の体にいいものを摂り入れていると、トレーニングの質も上がるので、減量中に筋量が増えます。自分の体質に合った食材やカロリー量を見極めていくことが、減量に限らず年間を通して大事なのかなと思います。

桑原 ボディビルは、ボディメイクの宝庫です。鈴木さんが言ったように、いろんなことを試せるし、それを楽しめます。僕は毎年出場するようなバリバリのボディビルダーじゃないけれど、たまに大会に出る年には自分なりに本気で臨むので、水抜きでも塩抜きでも極端なことから流行りのものまで何でもいろいろやりました。でも、やったからこそ自分の体に合っているかどうか、やっちゃいけないことなのかどうか、気づくんです。極端な塩分カットなんかは、本当に視界がぼやけてきて、細胞レベルでダメだっていうのが分かりましたから(笑)。

鈴木 私は昔(15年前)、当時流行りのケトジェニックダイエットをやって失敗したことがあります。それで、何でもバランスよく食べないとダメだなと分かったんです。

桑原 流行りや憧れの人の模倣だけで終わらずに、そこから自分自身の体の特徴を知っていくことがキャリアになるのでしょうね。 仮に最初の1年で失敗しても、少しでもその失敗から自分を知ることができたら、価値のある1年になります。

鈴木 本当にそうですね。特に、むくみなどの体調の良し悪しは、絞れているときに出やすいので、自分に合う食材やカロリーを見極めるためにも、まずは減量をしてみてくださいと私は言いますね。桑原さんがおっしゃるように、何でもやってみないことには始まらないので、たとえ失敗でも理由が分かればそれは次に向けての成功なんです。現代は情報量が多くなったせいか、そういった冒険をしたがらない人が増えたような気はします。でも、冒険してみたことが、その人にとっては意外と正解かもしれないんです。情報収集は大事ですが、身をもって試してみて自分に合ったものを探すことも、大切にしてほしいと思います。

桑原弘樹
1961年4月6日生まれ 愛知県出身。立教大学卒業後、江崎グリコに入社。スポーツサプリメント事業を立ち上げ、スポーツフーズ営業部長などを歴任し、現在はアドバイザー。桑原塾を主宰し、100人以上のトップアスリートのコンディショニング指導も行っている。

鈴木雅 プロフィール
1980 年12月4日生まれ 福島県出身。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、東京選手権大会で優勝。2010年から日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80kg 級、世界選手権80kg 級と2つの世界大会でも優勝を果たした。


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