格闘技 mens

言いたい放題!平本蓮MMAデビューヘ長谷川賢が注文&アドバイス<ロングインタビュー>

──平本選手は2018年7月にマニラにONEの試合を見に来ていましたよね。あの時はONEでキックの世界最高峰に立ちたいのだと思っていました。
平本 最初はそのつもりでした。ペトロシアンに全然負ける気がしないんで。ペトロシアンに勝って、そこからMMAで戦おうと。
──あくまでもキックであって、ムエタイでタイ人を倒したという願望は持っていない?
平本 ムエタイは興味なかったです。シンプルに格好良くないので。
長谷川 格好悪い……(笑)。ムエタイの首相撲とか凄いじゃん。ああやって人を転がすって。
平本 僕は小さな頃からムエタイのジムでやってきたので、MMAなら首相撲もヒジもやります。それに生き方じゃなくて、技術のことなら、人の話を聞きますし。でも、マネージャーの言うことをきいてONEじゃなくてRIZINにしましたね。アハハハハ。
──そのRIZINではキックで芦田崇宏選手を破り、いよいよMMAデビュー間近と期待されています。実際にMMAの練習をしている平本選手を見ていて、どのような印象を持っていますか。
長谷川 正直に言えば、まだ始めたばかりで分からないです。ただ、もっと組み技の練習をやりこまないといけない。組みを嫌がっている選手は、打撃で持っているモノを出し切ることはできないのがMMAなので。組みを嫌がらないようになればMMAでもヤバい選手になれます。
──当然のように打撃は頭抜けていると。
長谷川 打撃は強いというか、速いんです。それが強さにもなるのですが。そこは別格です。MMAファイターとしてとかでなく。キックボクサーのなかでも群を抜いて速いと思います。
平本 ハセケンさんも速いですよ。MMAの選手、スゲェ遅い選手が多いから。でもハセケンさんは速い。
長谷川 確かに僕はキックボクサーの子とスパーをしても、それほど速いと感じることはないです。だからキックボクサー基準で見ても、平本君は速いんです。
──MMAとキックでは間合いが違います。MMAの距離をどのように感じていますか。
平本 自分でもまだ分かっていない武器を使えるような気がします。MMAに関しては素人なので、ハセケンさん達と相談して重心とかも少しずつかえて、構えから考えていく必要があると思います。少しずつ研究していくしかないですよね。
長谷川 考える派だよね?
平本 教わったことを生かすには、自分で考えないと。キックの距離だと前手を出して叩くのは、カウンターを貰ったり、ジャブを差される危ない行為ですけど、MMAだと近寄らせないために前蹴りとの連携で使っています。それこそイスラエル・アデサニヤとか前手で常に触っています。逆にMMAだとキックでは使えない技術を生かすことができることもあるんじゃないかと。たとえばダッキングとか。
長谷川 あぁ、なるほど。MMAは打ってからダックして、その姿勢のままで組んでいけますしね。
平本 距離もそうだし、テンポが違うので。3分×3Rのキックと比べるとMMAの5分×3Rはテンポがゆっくりで。でもラウンドを重ねるごとに疲れてきます。MMAをやってからキックのスパーリングをすると、テンポが凄く速い。それでまた疲れる。僕の場合はキックの速いタイミングも要所で使えるので、どちらの練習も必要だと思います。
──試合全体を通したテンポ……興味深いです。それでいうと戦いのリズムもMMAとキックは違いますよね。どちらかというとキックは正しいリズムを刻む。対してMMAは変調だらけかと思うのですが。
平本 だからこそ打撃の部分ではやりやすいです。リズムを刻むようなアクションを起こさない人が多いので、よく見えます。キックの正攻法のリズムを使うと、MMAの選手は入って来づらい。GENで安西(信昌)さんに教えてもらったのですが、レスラーはミドルやローは我慢して組もうと思えるけど、前蹴りとアッパーは嫌だと聞きました。
長谷川 クラウチングのレスラーだと下れないですからね。
平本 それこそアデサニヤは前蹴りをメチャクチャ使っていますよね。MMAをやっていてキックボクシングが使い辛いというのはないです。アッパーとか、フックのカウンターを警戒してなかなか使えなかったのが、組んでくるからこそ有効になりますし。MMAのスパーをやって頭の位置とかを工夫するようになり、キックのスパーでも前より調子が良いんです。
長谷川 平本君はそんな風に言っていますけど、普通のキックボクサーだったらアッパーだろうが、やって来るのも分かるし対処できます。でも平本君はさっきから言っているように速過ぎて(笑)。別にキックの強い選手がMMAをやることに期待しているんじゃなくて、適正がある平本蓮だから凄く楽しみなんです。スパーをしてそう思ったんです。ただし、現状だとMMAファイターは打撃を被弾しようが死に物狂いで組みつけばテイクダウンを取ることはできます。だからこそ、これだけ適応できそうな打撃を生かせるぐらい組みに対処できれば、と思います。
平本 もう組みをやるしかないですよね。ハハハハ。
長谷川 なんでも良いと思います。レスリングでも柔術でも、組みで強くなれば。倒されない、倒れても立つ、寝かされても戦える。このうち、どこかから対応できるようになれば、あの打撃が生きる。それから他も対応できるようしていけば良いだけで。組まれることを恐れないで、あの打撃を打ち込むことができれば、もう既に普通のMMAファイターを凌駕します。逆をいえば、組みに対応できないと厳しいということです。

次のページへ >


-格闘技, mens
-, , , , , , , , , , , ,