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EZバーとストレート―バーはどっちが上腕二頭筋に効果的なのか

筋電図実験では効果に差はない?

EZバーとストレートバーの違いが理解できたところで、ではどちらのほうが自分に適しているのだろうか。原則としては痛みがないやり方を選ぶのが無難であるため、多くの人にとってはEZバーを選んだほうが間違いはないだろう。もちろん、どちらも痛みがないというのであれば、より効果的なストレートバーでのカールを積極的に行うといい。それでも、刺激をマンネリ化させないためにも定期的にバーを使い分けるのが賢明だ。

ここでEMGを使った実験を紹介するので参考にしてほしい。この実験では、上腕二頭筋とその深部にある上腕筋にEMGを取り付け、ストレートバーとEZバーを使ってカールを行った場合の筋電図の違いが確認された。

実験の結果、ストレートバーとEZバーとでは、上腕二頭筋と上腕筋への刺激度に若干の差が見られたものの、得られる筋発達の程度はほとんど同じであると推測された。そのため、どちらを選択するかは、その人にとって心地よく使えるか否かで判断すればいいのではないかということだ。

バイセップスカールで痛みが起きる原因

バイセップスカールで痛みが起きる場合、以下の事柄が原因になっていることが多いので確認してみよう。

①実力以上の高重量を使いすぎている

ウエイトトレーニングを続けていれば誰だって高重量に挑戦したくなる。高重量を扱うことで筋力の伸びや筋量アップが得られ、それこそがトレーニングの醍醐味であると認識している人は多いのだ。ただし、それが痛みやケガを引き起こしているとしたらどうだろうか。高重量にこだわりすぎた結果、取り返しのつかないケガを負ってしまえばトレーニングの継続に赤ランプが点灯してしまう。

高重量を用いるだけがトレーニングではない。正しいフォームで行うことの重要性をしっかり理解し、それが維持できる範囲での重量を選択していこう。

適切な重量を扱っている限り、手首や肘などを痛めるリスクは限りなく低くなるはずだ。しかも、正しいフォームを維持できていれば、対象筋を的確に刺激できるので筋発達につなげることができる。

②無意識のうちに手首を曲げている

バイセップスカールでは手首はまっすぐ保ったほうがいいのだが、多くの人が無意識のうちに手首を曲げてしまっている。特にトレーニング歴が浅い人、あるいは実力以上の高重量を扱っている人などは手首を手前に曲げてしまっていることが多く、それが腱に大きな負担をかけて痛みの原因になることもある。このことによる痛みは手首だけにとどまらず、肘関節の違和感につながることもあるので十分に注意しよう。

③バーを強く握りすぎている

バーを強く握りにしめた状態でバイセップスカールを行うと、手首への負担が増してしまう。というのも、強く握りしめた状態は手のひらの屈曲筋を過剰に刺激することになるからだ。また、バーを強く握りしめることは肘関節の痛みを招くこともある。

④特定の器具に執着しすぎている

EZバーやストレートバー、あるいはその他の器具やマシンを選択できる環境にあるのに、ひとつのやり方に固執してバイセップスカールを行っている人もいるようだ。

ひとつの種目にこだわってしまうと、毎回決まった刺激が上腕二頭筋や上腕筋にかかることになるため、それが痛みを引き起こす原因になることもある。

種目にバリエーションを持たせることは筋発達を促すために大切なことだが、同時に、特定の箇所に刺激が集中してしまうのを避けるのにも役立つのである。特にバイセップスカールの場合、特定のバーに執着してしまうと手首や肘関節の一点に負担がかかりやすくなる。そういったことからも、できるだけバリエーションを持たせて、定期的に種目を変えることを勧めたい。

上腕二頭筋のワークアウトについて

上腕二頭筋は、様々な部位のワークアウトで間接的な刺激を受けている。つまり、上腕二頭筋をダイレクトに刺激しなくても、大筋群を補助する筋肉として絶えず働いているのである。

上腕二頭筋のワークアウトでは、そういった点を考慮してトレーニング頻度や量を決めていく必要がある。そうすることでオーバートレーニングやケガを回避することができるのだ。

例えば背中のためのロウイング系種目をはじめ、多くの多関節種目で上腕二頭筋は補助筋として働いている。実際、背中や胸のワークアウトで計画的に使用重量を増やすことに成功している人は、知らず知らずのうちに上腕二頭筋の筋力が向上し、筋肥大も起きているはずだ。

ならば、多関節種目をやっていれば上腕二頭筋の種目は不要ということだろうか。そうではない。上腕二頭筋だけをアイソレートして刺激するような種目もまた、完成度の高い上腕を作り上げるためには必要なのである。

特にどの部位も形良く、バランスを取りながら発達させることが求められるボディビルダーの場合は、必ずと言っていいほど上腕二頭筋のワークアウトはスケジュールに組み込まれている。

大筋群の発達と腕の発達は比例していることが多い。つまり、上腕二頭筋のワークアウトは見栄えのためだけでなく、大筋群の発達を促すためにも不可欠だと理解しておいてほしい。

まとめ

同じバイセップスカールでも、ストレートバーかEZバーかで強調される要素は異なる。より強い収縮感が得たいならストレートバーがおすすめだ。EZカールバーは手首関節への負担が少ないため、可動域を広げることができ、それによって強い刺激を生み出すことができる。

どちらのほうが優れているというわけではないので、どちらに重点を置きたいかは人それぞれだろう。結局のところ、自分にとってやりやすいかどうかで決めればいいのである。

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@参考文献
Marcolin, Giuseppe et al. “Differences in electromyographic activity of biceps brachii and brachioradialis while performing three variants of curl.” PeerJ vol. 6 e5165. 13 Jul. 2018, doi:10.7717/peerj.5165


Sarah Chadwell
プロのライター、フィットネスライフ提唱者、パーソナルトレーナー、グループワークアウト・インストラクター、ナチュラルトレーニー、ボディビルダー、ビキニアスリート、フィギュアアスリート。


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