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千葉ジェッツふなばし・原修太のマッチョボディに迫る 「筋肉のせいで腕が上がっていないんじゃない」「筋肉つけすぎじゃない」という意見もあった

鍛え上げられたボディから、イケメンゴリラとして話題となった名古屋・東山動植物園の「シャバーニ」ならぬ「ハラーニ」のニックネームを持つ原修太。強靭な肉体を活かしたディフェンスを武器に、昨シーズンはBリーグベスト5とベストディフェンダー賞をダブル受賞。日本を熱狂させた男子ワールドカップ2023でもスタメン出場を果たした。そんな原の「動ける肉体」に対するこだわりとは――
[初出:発売中『IRONMAN2024年4月号』]

【写真】原修太選手のウエイトトレーニング

発売中の『IRONMAN2024年4月号』に掲載の【原修太 世界に通用する筋量と筋力 あとは、それをどう生かすか】より、インタビュー内容をお届けします。

うまい日本人選手が多い中で荒々しく唯一無二の存在に

原修太選手

――国内男子バスケ界で屈指のフィジカルを誇る原選手ですが、ウエイトトレーニングに取り組み始めたのはいつごろからですか。

原 僕は2016年に千葉ジェッツに入団しましたが、やはりそのときからですね。プロでやっていくためには食事管理やトレーニングをしっかりやらなければいけないなと感じて。学生時代はもともとの体格や、ある程度の能力でも通用していたのが、プロの世界では壁にぶち当たってしまった。ちょうどそのときに怪我をして、欠場中に自分自身の身体の課題とじっくり向き合うことができました。

――具体的にはどのような課題でしたか?

原 そのときの怪我はジョーンズ骨折といって右足の小指の付け根辺りの負傷でしたが、やはり下半身、特にお尻をきちんと使えていないから足首や足先に負担がかかるということで、まずはそこを重点的に鍛えました。また、僕はバスケ選手の中ではスピードがあるほうではないんですね。今では伸びてきているなという自覚がありますが、以前はドリブルもつけない、シュートもそこそこみたいな存在でした。だからこそ、何か自分の長所、強みを作りたくて、フィジカル強化に取り組んでみようと思いました。

――2カ月を経て戦列に復帰したときは〝マッチョボディ〟への変身が話題となりました。

原 入団時に187㎝・88㎏くらいだったのが、92~94㎏くらいになったので、日本人はもちろん外国人選手にも体格負けすることがなくなってきました。当時は体脂肪率も7%くらいだったので、今より筋肉のカットもあったし、プロ3年目くらいまでは今より見栄えがいい身体つきでしたね。

――その当時、イメージしていた理想の身体やプレーヤー像というのはあったのでしょうか。

原 荒々しいし下手だけど、日本人相手にガンガン、ドライブに行ける欧米の選手や、アジアではフィリピンの選手などを見て「僕が行く道はここかな」とは、プロ1、2年目からずっと思っていました。うまい選手が多い日本のバスケ界で、唯一無二の選手になりたい。その目標は今も変わりません。ただ、3年目以降は、鍛えた身体をコート内でうまく使えきれていないことにも悩み始めて。

――筋量・筋力を競技動作にいかに活かすか。まさにアスリートの命題ですね。

原 自分も、身体はあるけど一瞬のスピードや反射的な動きが遅くて、たとえばディフェンスでの最初の1歩が出ない。そういうことに悩んでいたところ、去年から吉田(修久)トレーナーが(千葉)ジェッツに加入して。僕らは「ノブさん」と呼ばせてもらっていますが、ノブさんは自分も元選手で、NBAファイナルに進出した時代の(サンアントニオ・)スパーズでトレーニング方法も学んできていて、僕の悩みにも徹底的に向き合ってくれました。そこからまた動きが一段とよくなったと、この1、2年ですごく感じます。バスケットボールにはゆるんで跳ぶ場面はほとんどない

――今日は競技練習後にウエイトトレーニングを行いましたが、ウエイトは週に何回くらい?

原 基本は毎週火曜日です。土日に試合をして、月曜日が休養日なので、週明けの最初の練習が火曜日になります。そこで、まずジャンプの高さを計測して、疲労度などを判断したあとにメニューを組んでもらっています。また試合の何日前かなど、時期によっても細かく回数やメニューが変わるのも、コンディション維持の面ですごくよかったです。僕がこうして動けているのも、ノブさんはじめスタッフの皆さんのおかげなんです。

――今日、見学させていただいたトレーニングでは10種目以上をそれぞれ短時間、テーマを設定してきめ細かく配分していました。スピードや瞬発力に重点を置いた種目も多かったですね。

原 試合前だと、たとえば最初にやった瞬発系のミッドサイプルは135~140㎏くらいの重さで3回×3セットをパッとあげて、その間にボックスジャンプを入れたりします。いろいろな種目を組み入れながら、バスケの動きを向上させるトレーニングメニューを組んでもらっています。

――トレーニング中はバスケットボールの動作を常にイメージしながら行っているのですか。

原 今日の種目では、メディシンボールを持っての切り返し動作がそうですよね。プレー中に踏ん張って切り返すときのイメージを持ってやるように言われますし、種目の合い間に入れているジャンプも、ただ跳ぶのではなく股関節をきちんと使うこと、またしゃがむときにも力を抜かず、地面を押しながらしゃがんで跳ぶ。そういう細かい動きまでアドバイスを受けながらやっています。

――それがバスケの動きに直結するジャンプ姿勢なんですね。

原 考えたら、バスケではゆるんで跳ぶことがほとんどないんですね。だからトレーニングのフォームも正解ではありますが、バスケで使える動きをトレーニングの中でしっかり習得するメニューになっています。ウエイト以外でも走り方のトレーニングや、壁を押しながらのステップなど実戦的な動きをり入れてくれるのもありがたいです。去年はそのおかげもあってベストディフェンダー賞をいただくなど、自分なりに成果が出せたシーズンになりました。

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