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筋肉博士、石井直方先生に聞く!ヒップアップ攻略の鍵は『大殿筋と大腰筋のどちらも鍛えること』前編

バレリーナの筋肉

森 私は今、バレエを習っているのですが、バレリーナのお尻はすごくきれいだと思います。バレリーナは細いというイメージを持つ方が一般的にも多いと思いますが、下肢の筋肉はすばらしいです。バレリーナの筋肉の特性を教えてもらえますか?

石井 例えばバレエはつま先立ちで様々な動作を行います。あれはもはや特殊技能です。つま先で立ったまま、全身の関節でバランスをとれるよう、筋肉で微調整しながら脚を高く上げるとか、股関節を伸ばして踊るといった動きをするわけですからね。男子のバレエダンサーとか、すごいですもんね。

森 ジャンプの高さや、コアの安定感などはたしかにすごいです。

石井 跳びあがった瞬間に、開脚するとか、脚をパンパンと2回タップするとかは簡単にできることではないです。
あれは、ジャンプする能力に加えて内転筋が強くないとできないです。それと、脚を前や横、後ろに振りあげるのは、股関節の柔軟性だけでなく股関節の奥の筋肉が強くないとできないんですね。また、背筋をピンとばすときに必要な脊柱起立筋も強くないと、上半身をキープすることができないから、基本的に、足腰と体幹がすごく強くないとできないですよ。現役のバレエダンサーを調べたことがありますけど、やっぱり、股関節周辺と体幹の筋肉が非常に強かったです。

森 バレエの先生に柔軟性がなくて脚が上がらないとうったえたら、筋力や関節の使い方が関わっていて、柔軟性だけの問題ではないとおっしゃっていました。

石井 そうですか。柔軟性は必要ですけど、芸術性が重要ですから、超人的な柔軟性は必要ないかもしれないですね。そういえば、欧米では、「男性のバレエダンサーとは喧嘩するな」と言われています。男でバレエをやっていると、軟弱な印象を持たれがちですけど、本当はそうではなくて喧嘩したら、バレエをやっている人にはかなわないということです。

森 確かに、下肢は筋肉量が多いですね。

石井 お尻はすごいですよ。惚れ惚れします。男性のほうがダイナミックな演技のなかで脚を動かすので、お尻周りがしっかりしていないと、ダメでしょうね。

森 バレエには、骨盤を後ろに突きだす動きが、あまりないように思います。つま先をひらいてプリエするなど、内に締める動きが多いです。お尻の深部と内転筋に、すごく効きます。

石井 股関節が、外旋するんですよ。例えばつま先を外に向けるときには、お尻の奥にある梨状筋、内閉鎖筋、双子筋という股関節の近くにある筋肉を使います。バレリーナはそれらの筋肉が発達していると考えられます。

いしい・なおかた
1955年、東京都出身。東京大学大学院教授、理学博士。
全日本ボディビル選手権優勝(81・83年)、アジアボディビル選手権優勝(82年)ほか、ボディビル競技での輝かしい実績を誇る。
トレーニングをテーマに次々にベストセラーを世に送り出す“筋肉博士”。

もり・ひろこ
ソライナ株式会社にて、プロテインや健康食品の企画・開発を行う。
ボディフィットネスでは東京大会4連覇、2016年には8年ぶりに大会に復帰し、関東オープン・フィットネスビキニ163cm超級で優勝を飾る。

取材・文_伊藤雅奈子
撮影_t.SAKUMA 
「Woman’sSHAPE Vol.07」2013年06月掲載


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