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これを知っておけば減量効率が上がる|カロリー消費を増やす運動ベスト3

食事をすればカロリーが体に取り込まれる。摂取したカロリーは臓器や組織を機能させ、歩いたり走ったり階段を上ったりするためのエネルギーになる。さらに、食べた物を消化する際にもカロリーは消費されるし、眠るだけでもカロリーが必要になるのだ。

つまり、私たちが生きている限り、何をするにもカロリーは消費され続けるので、カロリーを確実に補給し続けなければならないのである。

生きていく上で不可欠なカロリーだが、だからといって摂りすぎてしまうと、消費されなかったカロリーは体脂肪として貯蔵されてしまう。減量すると決めたなら、当然、摂取カロリーを抑える必要があるわけで、摂取カロリーの制限は体重の増減に大きく関わっていることを改めて理解しておくようにしたい。

とは言っても食事を制限するのは決して楽ではない。

できるだけ摂取カロリーを厳しく制限せずに、消費カロリーを増やす方法はないだろうか?

今回は、どのような運動を行えばより消費カロリーを増やせるのかについて解説していきたい。
※本記事はアメリカのIRON MANホームページに掲載されたものを翻訳しております。

<本記事の内容>
消費カロリーを左右する要素
消費カロリーを増やす運動ベスト3
汗をかけば脂肪が燃える?
まとめ

消費カロリーを左右する要素

消費カロリーは様々な要素によって変わるのだが、主に2つの要素に大別することができる。ひとつは個体差の要素、もうひとつは現状の要素だ。具体的にどのようなものがあるのかを確認しておこう。

【個体差の要素】
●性別
生まれたときから生理的な性別は決められていて、消費カロリー量については男性は女性より多いのが「特徴」である。

両者の差は平均すると5~10%と言われていて、同じ物を食べ、同じパターンで生活し、同じ量の運動をこなしても、男性のほうがカロリーを燃焼しやすいのだ。

もちろん、女性でもウエイトトレーニングを行うことで筋肉を発達させることができるが、ホルモンの影響で体脂肪を蓄えやすいのだ。そのため、減量をしても男性ほど体脂肪率を減らすことは難しいとされている。

アメリカのACE(米国運動協議会)によると、男性は体脂肪率が5%以下であっても健康を維持できるが、女性は最低でも10%以上の体脂肪率が必要ということだ。体脂肪はホルモンの生成や代謝、内臓器官の保護、生殖機能の維持などに不可欠なので、適度な量の体脂肪は維持しておくことが望ましいのである。

●年齢
私たちは実年齢を操作できない。命を授かったときから、体内に埋め込まれている時計の針は進むように作られているのだ。時計の進行に合わせて骨や筋肉の衰えが見られるわけだが、統計によると、30歳を過ぎた頃から10年ごとに平均して約4%の筋量が減るそうだ。

筋肉が減る理由は、加齢とともに体内のホルモンが減少し始めることや、筋肉の維持や増加を助けるタンパク質の筋中同化率が低下することなどがある。

筋肉が減れば、当然、代謝は低下する。適度な筋量がある若い頃なら、じっとしていてもカロリーは消費されていたが、老化で筋量が減少してしまうと安静時のカロリー燃焼量は減少し、総合的にみて1日の消費カロリー量が少なくなってしまうのである。

【現状の要素】
●筋量
若いときからトレーニングを続け、今でもジムに通っているという人は、運動習慣がない同世代の人と比べると筋肉量は多い。

一般的に、筋量が多い人は休息中も積極的にカロリーが消費されるので、体脂肪が増えにくい体質を維持することができる。

筋肉は脂肪に比べて、維持するだけでもより多くのカロリーを必要とする。具体的には、筋肉450gあたり7~10キロカロリーを1日に消費するのに対し、脂肪が消費できるのは2、3キロカロリーにすぎないのだ。

何もせずに安静にしているだけで、筋肉はそれだけのカロリーを消費するわけで、トレーニングを行えばさらに多くのカロリーを消費することができる。

運動によって筋肉は収縮するわけだが、その収縮のためにたくさんのカロリーが必要になる。より多くのカロリーを消費したいなら、筋肉の収縮を繰り返すウエイトトレーニングは最適なのである。

●運動レベル
ウエイトトレーニングを開始して数カ月もたてば、最初はきつかった重量も楽に持てるようになる。これは、定期的に運動を続けたことで筋量、筋力が向上し、運動レベルが上がってきたからだ。運動レベルが上がればカロリーの燃焼量は増加する。努力を積み上げていくことは、消費カロリーを確実に増やしてくれるのだ。もちろん、使用重量が軽く感じてきたら重量を少しだけ増やし、動作がきつく感じられる程度に調整していく必要がある。

種目の動作が楽に感じられるようになるのは、筋発達だけが要因ではなく、脳が効率性を求めるようになるからだ。効率性が上がってしまうとカロリーの燃焼は制限されるので、少しだけ使用重量を増やすなどして、再び体が多くのカロリーを燃やすようにする必要がある。これは筋発達を継続させるためにも必要なことである。

●体重
体重が重くなればなるほど、運動中に消費するカロリー量は増える。重い身体を動かすために、より多くのエネルギーが必要になるからだ。

逆に、減量によって体重が減少していくと、減量開始時に比べて体脂肪が落ちる速度は少しずつ遅くなる。その理由のひとつが、体重が重かったときと同程度の運動量であれば、消費されるカロリーは当然少なくてすむからだ。

消費カロリーを増やす運動ベスト3

性別や年齢による影響は変えられないが、体重や筋量、運動レベルなどは努力次第で消費カロリーを増やすように調整することができる。そのためには食事やワークアウトの工夫が不可欠になるわけだが、特に運動に着目した場合、どのような運動が消費カロリーを増やすのに適しているのだろうか。ここではそのベスト3を紹介したい。

【その1:自重トレーニング】
自重だけの負荷でも、動作のリズムやテンポを変化させることで運動強度を調整できる。代表的なものをいくつか紹介しておくので、積極的に取り入れてカロリーの燃焼量を増やしてみよう。

●バーピーズ
①両足を肩幅程度に開いて立つ。
②しゃがんで両手のひらを床につける。
③軽く跳躍して両膝を伸ばしながら、足を後方に伸ばす。この時点では腕立て伏せの姿勢になっている。
④腕立て伏せの姿勢から軽く跳躍して両足を両手の間に引き戻し、しゃがんだ姿勢に戻す。
⑤再び立位のスタートポジションに戻る。これを繰り返す。

●ディップス
①ディップスバーの間に立ち、バーを両手で握ったら、腕をしっかり伸ばして体を床から浮かせる。これがスタートポジションだ。なお、動作を開始したらトップポジションで肘が伸びきってしまわないように注意しよう。
②スタートポジションからゆっくり体を下ろし、ボトムに達したら、再びスタートポジションまで体を押し上げる。これを繰り返す。

●クランチ
①床にあお向けになる。このとき、背中全体を床につけておく。両膝は直角に曲げ、足裏を床につける。両手は胸の前で交差させる。これがスタートポジションだ。
②スタートポジションから上体を丸め起こす。肘が膝に付くまで上体を起こしたところがトップポジションだ。腹筋を意識的に収縮させよう。スタート地点までゆっくり上体を戻す。これを繰り返す。

●プルアップ
①適度に高さのあるチンニングバーを使って行う。
②腕を肩幅よりやや広めに開いてチンニングバーにぶら下がる。
③アゴがバーの高さに来るまで身体を引き上げたら、ゆっくり下ろす。これを繰り返す。

【その2:有酸素運動】
カロリーの消費量を増やすのに有酸素運動はとても有効だ。特に、運動のペースや強度を上げる有酸素運動は、より多くのカロリー燃焼を促すので試してみよう。

参考までに申し上げると、ハーバードヘルス出版では、時速12キロのスピードで30分間走り続けると、84kgの人では525キロカロリーを燃焼することができると述べている。

他にも競技種目別、体重別、運動強度別に消費カロリー量が調べられたが、より強度の高い有酸素運動がより多くのカロリーを消費したそうだ。ちなみにハーバードヘルス出版とは、ハーバード医科大にあるひとつの部門で、一般の人たちの健康増進を目的に作られたものだ。

●HIIT(ハイインテンシティー・インターバル・トレーニング)
HIITは、高強度で行うパートと低強度で行うパートを交互に繰り返す有酸素運動で、カロリー消費を大いに促してくれる。

基本的なHIITのやり方は、選択した種目を全力で20~30秒間行ったら、休まずに強度を下げて30秒ほど行い、休まずに再び高強度で20~30秒間行う。これを繰り返してできるところまで行ったら、そこで初めて休息を挟み、2サイクル目を開始するというやり方だ。

HIITには様々なバリエーションがある。例えば5~8種目の有酸素運動を選択し、連続して1分ずつ行ったら30秒未満の休憩を挟んで、再び5~8種目を連続して行うというサーキットトレーニング的なHIITもある。

HIITで採用される種目にも様々なものがあるが、スプリント(短距離走)やジャンプ、バイクなどがよく用いられている。

HIITは、一定の低強度で行う有酸素運動よりも25~30%も多くのカロリーを消費することができるという研究結果もある。

●ランニング
ランニングは、カロリーの消費量を増やすのに適した運動のひとつだ。ただし、ランニングでその効果をしっかり得るには、速いペースで走る必要がある。

●ローウィング
研究によると、体重84㎏程度の人が強度を高めにしたローウィング(有酸素種目)を30分行うと、およそ440キロカロリーのエネルギーを燃焼させることができるそうだ。これが中強度のローウィングになると約300キロカロリーまで落ちるようだが、いずれにしてもローウィングは肩、背中、脚といった大きな部位が関与する運動なので、消費カロリー量も多いのである。

有酸素運動用に固定されたローウィングマシンを使うのが一般的だが、より多くのカロリーを燃焼させるなら、手こぎボートを湖などに浮かべて風に向かってこぐようにすると、運動強度はさらに増すはずだ。

●水泳
泳法にもよるが、水泳は腕、脚、そして体幹部の筋肉を刺激するので消費カロリーも多い。また、プールよりも海で泳ぐほうが波や流れに逆らわなければならないので、消費カロリー量は更に多くなる。

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【その3:ウエイトトレーニング】
ウエイトトレーニングは筋発達を促すもので、脂肪燃焼の効果は高くないと思っている人も多いようだ。それでも、ウエイトトレーニングの脂肪燃焼効果を実感している人が徐々に増えており、さらには両方のタイプの運動を行うのが、脂肪を落とすのには最適だと主張する人たちも増えている。

有酸素運動が脂肪燃焼を促すのは運動中に限られる。運動を終えてからも積極的にカロリーを燃やし続けるのがウエイトトレーニングの特徴であるため、運動中も運動後も消費カロリーを増やすには両方のタイプの運動を行うのが効率的だと言える。

しかし、現代人にそんな時間の余裕はない。そこで、時間が限られている人には、以下のような両方のタイプの特徴を取り入れた運動がおすすめだ。

●ケトルベルサーキット
ケトルベル種目をいくつか組み合わせてサーキットにして行ってみる。重量は変えず休憩も挟まず、次から次へと連続して種目を行うことで、筋力だけでなくスタミナや筋持久力の向上も期待できる。

もちろん、燃焼されるカロリー量も多く、場合によっては600キロカロリーも消費することができると言われている。

ただ、ケトルベルを持ちっぱなしになるので握力が持たないという人もいるだろう。そういう場合は、ケトルベル種目の合間に自重を使ったスクワットやプッシュアップなどを挟むといいだろう。

●デッドリフト
研究によると、トレーニーの体重によっては、有酸素運動よりもウエイトトレーニングのほうがより多くのカロリーを消費することがわかっている。

ハーバードヘルス出版がまとめた研究では、30分間の種目別、体重別の消費カロリー量が示されている。例えば、体重が60kg未満なら1マイル(1.6km)のランニングより15~20レップのデッドリフトのほうが効率よくカロリーを燃焼させることができたそうだ。

汗をかけば脂肪が燃える?

汗をかけばかくほど消費カロリーが増えると思っている人は多いだろう。そもそも発汗は体に備わっている防御反応のひとつで、体温の上昇を制限するためのものだ。

汗と運動について研究してきたサッド・E・ウィルソン博士は以下のように主張している。
●運動が発汗を刺激しているわけではない。
●運動で発汗するのは、運動が体温を高め、体がそれに反応するからだ。

ここからわかることは、消費カロリーを増やすために必要なことは、発汗量を増やすことではないということだ。たくさんの汗をかいたからといって、たくさんの体脂肪が燃えるというわけではないのだ。

発汗と消費カロリーに関連性があるとすれば、発汗するときに体内にある水を汗腺がある場所まで運搬するわけだが、このときに微量のカロリーが消費されるぐらいだろう。

汗をかけばかくほど体脂肪が落ちるという考え方はこの機会に改めたほうがいいだろう。

まとめ

どんな目的であっても、減量したいなら消費カロリーを増やす必要がある。そのためにできることは運動量を増やすことだ。ただし、極端に増やさないほうがいい。そのようなことをすると、せっかく作り上げてきた筋量を減らすことになってしまう。減量は余裕を持って計画したほうが成功しやすいのだ。

そして、今回紹介したようなたくさんのカロリーを消費する運動を取り入れたトレーニングプランも必ず役立つはずだ。

減量は一朝一夕でかなうものではない。微調整を繰り返しながら、計画どおり着実に少しずつ進めていこう。

【IRON MAN MAGAZINEについて】
まだ筋トレブームがおきる遙か昔、1936年にアメリカで『IRON MAN』誌が創刊された。背表紙もない小冊子には筋肉に魅了された人たちが飛びつく情報が詰め込まれていた。ボディビル、パワーリフティング、ウエイトリフティングに共通した練習法や食事のノウハウが満載された雑誌は、瞬く間に多くのマニアックなトレーニーたちに愛読されるようになった。初代からの思いを引き継ぎ、現在、4人目となる発行人に追随し、複数の執筆者たちがナチュラルアスリートに向けた情報を発信している。また、健康作りにも重きを置き、ストレスに悩む現代人への提案記事も多い。

翻訳:ゴンズプロダクション

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