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「真の筋肉の成長に近道は存在しない」現役大学生王者が語るボディビルの『いろは』

 

デビュー6年以内のトップ選手たちが、大会に初めて出場したときのことを振り返る。大会までに準備したほうがいいこと、知っておいたほうがいいことは?さらに、初めて大会に出る人に向けたアドバイスをしてもらった。今回は昨年の全日本学生ボディビル選手権覇者・宇佐美一歩選手だ。

取材・文:IM編集部 撮影:中島康介 写真提供:りゅう

「カーボアップで糖質を食べ始めると止まらなくなり、食べ過ぎてしまい、皮膚感が浮腫んでしまった」

僕が大会に出場したきっかけは、鍛えているうちに高校生しか出場できないボディビル大会があると知り、自分の実力を試してみたかったからです。中学生から高校生のころは、マッチョになりたいという思いだけでトレーニングをしていて、ボディビルには特に興味がありませんでした。ですが、筋肉で日本全国にいる同い年の人には負けてはいられないという思いがあったため、優勝しようと決意し出場しました。
大会に出ると決めたのは、大会の約10カ月前の高校2年生の冬でした。出場するにあたって、そのときから本格的に脚のトレーニングを始めました。それまでは家で上半身中心のトレーニングをしていたこともあり、脚トレは一切行っていませんでした。
減量はローファットで、カロリー計算を行い大会の3カ月ほど前から始め、77㎏から62㎏まで体重を15㎏落としました。高校生活をする上での減量は一日中倦怠感があり、体育の授業が特にしんどかったのを覚えています。食事のことしか考えられなくなり、友達付き合いも悪くなってしまっていました。また、減量などに関する情報は、YouTubeなどから自然に入ってきたものだと思います。
摂取カロリーは減量末期で1800キロカロリーくらいで、これよりも下げたら筋肉が減るという固定観念にとらわれており、その結果絞り切れたとは言えない仕上がりになりました。有酸素運動は、片道40分の自転車での通学と、大会1カ月前からは毎日中之島のゴールドジムから京橋駅までを歩いていたくらいで、筋肉を残そうという意識が強いあまりに絞り切るためのリミッターを外せていなかったのだと思います。また、減量中はイライラすることが多いですが、親は減量でも食べられそうなものを買ってきてくれたり、夜はジムまで送り迎えをしてもらうこともあったりと、協力的でありがたかったです。
初大会での失敗や反省としては、カーボアップをしすぎたことです。カーボディプリート(炭水化物・糖質を体内から抜くこと)を4日間した後カーボアップを丸2日間したのですが、糖質を食べ始めると止まらなくなり食べ過ぎてしまい、皮膚が浮腫んでしまったと感じました。はちみつやシロップ、和菓子などの砂糖類を食べると中毒性があり、セーブが効かなくなってしまうので気をつけたいところです。
減量もそうですが、特に最終調整はまだまだ難しく、毎年試行錯誤ですので経験を重ねて確立していきたいです。あとは、フリーポーズを考えることが苦手で、毎年前日一夜漬けになってしまうので反省しているのですが、やはり難しいです。
やっておいて良かったことは、とにかく優勝することにこだわっていたことです。大会に出るまでジムのロッカーナンバーは「1」番しか使わないということもしていました。その意識がトレーニングの追い込みの局面や減量の辛いときなどに活きていたと思います。
初めて大会に出る人へのアドバイスとしては、とにかく自分が納得できるまでやり切るということが一番大切だと思います。あとは、自分自身に負けない強い気持ちを持つことです。その心構えで大会に臨むことができれば結果がどうであれ、経験として得るものは大きいと思います。今はさまざまな情報や、理論が多く溢れていて惑わされることが多いですが、近道はないです。地道に基本をいかに徹底できるかが大切ですので、自分自身を信じて頑張りましょう!


うさみ・かずほ
2000年7月29日生まれ(21歳)、身長161㎝、体重65㎏(オン)75~85㎏(オフ)、大学生。トレーニング以外の趣味は爬虫類飼育。
初大会と結果●2018年全国高校生ボディビル選手権優勝
主な戦績●2019年関西学生選手権優勝、全日本学生選手権4位、2020年マッスルゲート神戸65㎏以下級&ジュニア優勝、2021年全日本学生選手権優勝


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