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立浪部屋、明生力が語る「フィジカルトレーニングを相撲に生かす」

――トレーニングで追い込みすぎない、ということですか。
明生 いえ、追い込むことは追い込むのですが、前日にトレーニングをしたから相撲が取れない、という気持ちになってはいけないということです。例えば肩とか首とかに故障を抱えていて、その日その日の調整で「今日は相撲を取るのはやめておこう」と、そういった判断をしていくことは大切です。でも、筋肉が疲れているから今日は相撲を取らないといったメンタルになるのは絶対にダメです。

――現在は松原コーチにプログラムを組んでもらっていることもあり、稽古との両立もはかりやすくなったのではないでしょうか。
明生 相撲は相手がいる競技なので、どうしても怪我というものが生じてしまいます。今日はトレーニングでガッツリ追い込もうと思っていた日の朝稽古に限って、どこかを痛めてしまうこともあります(苦笑)。そういったときは松原先生に相談して、その都度その都度メニューを考えてもらえます。一人でトレーニングをしていた時期は、そういったことができませんでした。だから、痛くても無理してトレーニングをすることが多かったです。でも、無理してトレーニングをして怪我をすると、それまでに積み上げてきたものがすぐに崩れてしまいます。これは今でも思い知らされることがあります。

――脚の筋肉痛が残ると翌日の稽古に支障があると思います。注意することはありますか。
明生 怪我はしたくないので、稽古前に四股やすり足などで動作を確認するようにしています。また、四股とかすり足を行うことで筋肉痛が緩和されることもあれば、筋肉痛が残ったまま相撲を取ることもあります。

――そういうときもあるのですね。
明生 筋肉痛が残っているときは、だいたい勝てません。ただ、それを自分でどうとらえるかが大事なんです。そこで「調子が悪い」ととらえると、モチベーションが下がってしまいます。自分は、「昨日のトレーニングがしっかりと効いている」と考えるようにしています。「昨日はいいトレーニングができた。今日は筋肉痛が残っているけど、それでも怪我に気をつけながら一歩でも前に出よう」と、そういう意識で稽古に入ります。

――気持ちの持ちようが重要なのですね。
明生 メンタル面にはすごく気を配っています。やはり負けると、どうしても気持ちが落ちてしまうものです。そうならないよう、稽古で負けても、その負けた原因をちゃんと自分で把握するようにしています。今日は脚が張っていたから動きが悪かったとか、筋肉痛が残っていたから動けなかったとか。じゃあ、筋肉痛が残っていない状態だったら、もっと動けるはずだと。そうやって前向きな方向で考えるようにしています。

――昔と比べて、トレーニングを実施している力士も増えてきたように感じます。そのあたりの実感はいかがでしょうか。
明生 今の力士は、おそらくトレーニングを肯定的にとらえている人が多いと思います。自分も絶対にトレーニングは行ったほうがいいと思います。

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