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鈴木雅×桂良太郎 ボディメイク業界に警鐘 「骨格」や「素質」という言葉で問題を解決したり逃げたりしがち 必要なのは何か?

「できない」をなくすために

鈴木雅×桂良太郎

──さらに掘り下げて、できないことがある場合にはどのようにして改善すれば良いかをお尋ねしたいです。特定の部位に効かないという悩みがある場合はどうすれば良いか、鈴木さんお願いします。

鈴木 一通りのスクリーニングを行うということは考えられます。そして、得られた結果を正しく評価するということもポイントです。意外と全体像を掴めていないことが多いので、動作全体を見ていくことが重要だと思います。二頭筋に効かないという問題を例にしても、体幹が安定していなかったり、外腹斜筋が関与していたりなどの、二頭筋以外の問題が関係していることはあります。

──そうなってくると、感覚頼りではなく知識も相当必要ですね。

鈴木 そういうわけで、専門家の意見を聞くことが重要なのではないでしょうか。特に、かなりのレベルまで到達した人は、感覚だけではそこから先に伸ばしにくいと思います。自分のことをしっかりと見てくれるトレーナーを調べて選ぶことが大事です。

──桂さんにお聞きします。トップアスリートの指導では、どのようなことに注意して、できないことをできるようにしますか。

桂 超一流の選手は、人とかなり違う特性を持っているからこそ、超一流の選手であるわけです。すなわち、様々なエビデンスの外にいる外れ値だと見なすことができます。トレーナーはそのことを頭に入れて、理論を押し付けないように気をつけなければなりません。自身のエゴを捨てることが大切です。一方で選手の方は、自分が信じてきたものを一旦捨てるという勇気と覚悟を持たないと次の新しいフェーズには進めない、という事実を認識することも必要です。こういったことを踏まえて、選手との関係の質を高めながら、どれだけ選手の行動変容を引き出せるかが、トレーナーの力量だと言えます。

──現代のボディメイク競技では、バランスが重視されています。弱点のない身体作りという観点では、今回のお話は非常に合致するところがあると思います。

鈴木 人間が感動するのは、バランスが取れていて美しいものか、いびつだけれど迫力があるものだと思います。私自身はそれを踏まえて、弱点のない身体を作っていこうと思って取り組んでいました。そして、そのためには知識を充実させることが不可欠でした。弱点があることの原因を正しく認知し、自分自身に行動変容を促すようにすることが大事だと思います。

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