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「モテたい」から始まったボディビル人生 26歳の東京階級別王者が「すごく辛いし、やりたくない」トレーニングを継続できるワケ

真栄里光選手「勝ちたいから鍛える」。これほどシンプルかつ強い動機はないだろう。2023年は東京クラス別70kg以下級優勝、2023年クラシックフィジーク選手権168㎝以下級4位と、初出場から順位を着実に上げ注目を集める真栄里光(まえざと・ひかる/26)選手の、ボディメイクへの信念にせまる。

【大会写真】真栄里光選手の「70kg以下に見えない!」筋肉画像一覧

ステージの魅力に取り憑かれた男

「“ベンチプレスを 100kg挙げてみたい“、”モテたい”……トレーニングを始めたころの気持ちは本当にそのくらいの軽いものでした。ただ、大学の想い出づくりにと参加した大会で、今までの人生で味わったことのないほどの悔しさ、楽しさの入り混じった、“ステージに立つことでしか得られない快感”の虜になり、そこからどっぷりと競技にのめり込みました」

今年の東京クラス別での優勝については、かなり驚いたと率直な感想をもらした。

「前回の65kg以下級から70kg以下級へと階級を上げての挑戦だったので、絞りと筋量の維持の両立にこれまで以上に直面し、バックステージでは出場者のなかで恐らく自分が一番軽量ではないかと感じるほど皆が大きく見えました。なので、満票の一位と知ったときは信じられない気持ちでした。評価をいただいた表現力に関しては、幼少期からの同郷の幼馴染であり、住むところも働き口もないまま上京してきた僕を受け入れてくれた親友がフリーポーズの構成を考えてくれたことが大きいと思っています。僕の心身ともに良い部分も悪い部分も含めて最も知る人が、僕を最大限に活きる見せ方を考えてくれた想いに応えたいという気持ちと、思う存分ステージを楽しみたいという気持ちが身を結んだのだと思います」

より基本に、より基礎的に。すべては勝つために。

「大会を経るにつれて“より基本に忠実に”、“基礎を徹底して行う”というスタイルに軸が定まってきたこと、一年に一箇所必ず克服する弱点部位を決めて集中的に強化してきたことが要因ではないかと思います。流行りに左右されないトラディショナルな種目をやり込むとともに、『減量期こそ筋肥大をしてやる』という気持ちで、扱う重量やレップの減少を許さないという心構えでオンシーズンのトレーニングに取り組んでいます。心と身体は密接に繋がっているので、気持ちで負けることだけはしたくないと思っています」

「実は僕は、率直に言うとトレーニングは好きではないほうだと思います」。ぽろりとこぼした一言から、真栄里選手の志が見えた。

「毎回すごく辛いし、やりたくない。トレーニングのたびにボディビルに導いてくれた先輩や親友からのプレゼントを御守りにして、歯を食いしばって頑張っています。それでもやり続けるのは、やはり勝ちたいからです。そして、これは裏を返せば『やりたくない』と思えるほどに強度が上がってきたということ、モチベーションに左右されずやるべきことに取り組む姿勢が構築できたということで、むしろ楽しくてやっていたころよりも鍛錬が身を結ぶ感覚は上がっています」

今後の目標は、まずは日本クラス別で6位以内を狙っていきたいと語る。

「今年、日本クラス別に参加して、トップビルダーの凄さを間近で肌で感じて、自身の現在値を叩きつけられてなお一層力をつけたいという発破になりました。評価をいただいている全体のバランスを大切にしつつ、大きくインパクトを残す強い部位を作り上げたい。ボディビルダーといえばやはり脚と腕だと思っているので、特にこれらをさらに迫力のある仕上がりにしていくのが当面の課題です」

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取材:にしかわ花 撮影:中島康介

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