12月10日(日)、埼玉・三郷市文化会館を会場に、今シーズン各地区大会の上位入賞者による決勝大会『Super Body Contest(SBC)2023 FINAL』が開催された。
基幹部門であるSBC部門で「WOMENS MONARCH(40~49歳)を制したのは居本梢(いもと・こずえ/45)さん。“黄金バランス”の言葉がふさわしい均整の取れたボディはもちろん、ショートヘアに純白の水着でのステージングはスケール感でもスタイリッシュさでも唯一無二の存在感だった。
自信あふれるパフォーマンスを見せた居本さんだが「実は大会に出るかどうかも迷っていた時期があった」というから驚きだ。
「一昨年(2021年)のファイナルで優勝させていただき、去年は連覇を目指していたのですが、結果は3位。こんなに頑張ってきたのに……ここからどう頑張っていいんだろう……と、全く分からなくなってしまったんです」
周囲には強気を見せていたが、自身では「低迷期」を自覚し、この状態のままでは大会に出ることも難しいと思い詰めた。そんな居本さんに、さりげなくも温かい光を当ててくれたのが、友人の一言だった。
「そんなにいつも頑張らなくていいんじゃない?」
言われた瞬間、肩の力が抜けた。思えば、「お尻が垂れてきたんじゃない?」という夫の言葉をきっかけに軽い気持ちで始めたトレーニング。それが、いつしかコンテスト出場、上位入賞、日本一……目標のレベルが上がり、気づけばアスリート並みに心身を追い込む日々が当たり前になっていた。
「自分でも気づかないうちに、頑張りすぎていたんでしょうね(苦笑)。去年は本当に連覇したいという気持ちがあったから、SBCだけに集中して毎日やっていた。でも、友人のその一言で、『そうか、トレーニングはやりたいときにやればいいし、それ(コンテスト優勝)だけではなく、もっと周りを見る余裕があったら、もっとよくなるかもしれない』と考え方を変えることができました」
「絞りすぎ」という昨年のフィードバックを受け、今シーズンは1回の食事で200gの白米を摂るなど食事と運動の両面で肉体改造に着手。前年比プラス4㎏の仕上がり体重とした。
「食事を増やすことはやはり勇気がいりましたが、おかげで大会当日にベストコンディションに持っていくことができました。また今シーズン、ロングからショートヘアに変えたのも、去年とは違う、変化した自分を表現したかったから。周りを見る余裕ができたからこそ、さまざまなアプローチから新たな身体を仕上げることができました」
その中で、今回の女王返り咲きで一番のポイントとなったのは? この質問に、居本さんは躊躇なく「休むこと」と答えた。
「やっぱり、きついときは休んで、しっかり力を溜めること。それが、今シーズンを通じて改めて実感したことです。去年は、休む暇があったらトレーニングをしたいという気持ちがまさり、やりすぎて、やりすぎて、どんどん体重が落ちていった。それでは、やっぱりステージでは輝けないんですよね。いい休養と睡眠が、健康で楽しくボディメイクを続けていくには一番大切だと思います」
トレーニングを頑張っても、なかなか結果が出ない。人から評価されない。そこで落ち込み、継続のモチベーションが一気に下がる人は少なくない。頑張り屋さんだからこそのお悩みに、居本さんは自身の経験から大切なヒントをくれた。
取材:藤村幸代 撮影:上村倫代